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白石がカットを始めて一ヶ月。 口コミなのか客足も増えて、白石の指名もなかなかだ。 『平岡さん!!今日の夜いいですか?』 『おう。』 白石との仲も良好で、仲の良い先輩後輩という感じだろうか。 仕事熱心な白石は週に2.3回居残りでカットの練習をする。 それをいつも見てやるのが俺の日課になりつつあって… 『ありがとうございました。』 最後の客が帰り、片付けが終わったスタッフ達が帰って行く。 『じゃぁ平岡、戸締りよろしく。』 そう言って店長が店を出て、白石のカット練習が始まる。 『ここはもっとこうした方がいいんじゃねぇか?』 『あっ…なるほど…』 白石の腕は日に日に上達して、カットのセンスもなかなかいい。 スタイリングをするのに髪の散らせ方が気になり近づいてみると白石の手がかなり荒れていた。 『お前手荒れすご…』 そう言いながら白石の手を握ると、焦ってサッと手を引っ込めてしまった。 『どうした?』 『いえ、なんでもありません!!』 そう言って白石が作業を続ける。 鏡に映る白石の顔は真っ赤で… 『お前やっぱりどっかで会ったことねぇ?』 『な…ないですよ!!』 『そうか…』 うーん。と顎に手を当てて考えてみるもののやっぱり会ったことなんてないか…と思う。 まぁ道端ですれ違ったとか、よく似てるやつが友達にいる…とかそんな感じかな? と、一人納得した。 『ありがとうございました。』 『おう。また明日な。』 俺たちは店の前で別れ、家へと向かった。

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