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13 陸side
そんなこんなで俺は大人になり美容師をしている。
内向的な性格のせいで馴染めなかった専門学校。
このままではいけないと変わる努力をした。
どこでどう間違ったのか…
明るい性格に変わるはずがそれも通りすぎ立派に曲がり切った性格は直すことができない。
私生活では女を取っ替え引っ替え、仕事では俺の人気が出過ぎて勤めるサロン、勤めるサロンが俺の指名客で溢れ返り、店が回らなくなって破綻。
なんでこんなことになったかな…
見た目は落ち着いていると言われるこの風貌も、実はただ猫をかぶっているだけなのだ。
寄ってくる女は拒まずに片っ端から喰って行く。
あの純粋だった頃の俺はどこに行ったかな…
このチャラさ、なんとも先輩みたいだな。なんて…
もう会えるわけもない人を思い出して少し寂しくなった。
遊ばれていたとわかっていても忘れられない自分がいる。
転校して三年生になったある日、先輩を訪ねてみることにした。
怖々と先輩の家のインターホンを押す。
きっと忘れられているだろう。
そう思うけど、どこかで期待している自分がいて…
「はい。」という声と共に出てきた一人の女性。
たぶん先輩の母親だろう。
先輩のことを聞くと、専門学校に行くために家を出たという。
何の専門学校なのか聞いたとき…俺の心臓はバクバクとうるさく鳴り響いた。
「美容師…ですか?」
「そうなの。なんか急に言い出して。まぁ息も長い職業だから賛成したんだけど。」
と、嬉しそうな女性。
それと同時に俺も嬉しくなった。
もしかすると俺の夢を覚えていてくれた…?
ありもしない期待を胸に、俺も美容師になることをその時再度決意したのだった。
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