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『うち、ここなんで…』 『おう、そうか。んじゃな。』 そう言って俺は歩き出す。 家までの道のり、好きだというチャンスはたくさんあったはずだ… なのに俺、本当アホだ。 まぁ、アイツがあの陸だという決定打がないから…なんてただの言い訳だけど、そうでも言っておかないと自分が情けなすぎる。 でも、もしアイツが本当にあの陸だとしたら… なぜ俺のことを覚えてないんだろう? どこかで会ったことがあるか?という俺の質問にも、会ったことはありません。と答えた白石。 俺のことはもう忘れちゃったのかな… 今も好きでいてほしいなんて強欲だけど、好きじゃなくても覚えてはいてほしかった。 なんだろ… ちょっと切ない。 家に着いてからも頭の中では高校時代の陸と、現在の白石がグルグルと回る。 今更になって好きだと言いたい衝動に駆られる。 なんで高校時代にちゃんと好きだって言っとかなかったかなぁ… いや、俺はかなり陸のことが好きだったということに気付いたのは、アイツが転校してからのことだったし… んーーー。 その日はあまり眠れなかった。

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