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24 陸side

なんなんだよ急に… 抱きしめられた部分が熱い。 そして舐められた胸も… 正直油断していた。 まさか先輩が俺のこのホクロを覚えていたなんて… ドンッと突き放して出てきてしまった。 どうして俺も忘れられなかったと言えなかったんだろう。 こんなに好きなのに… でもあの時みたいにあっさり別れてしまう日が来るのかと思うと怖い。 それなら一緒にいない方がいいに決まっている。 そうだ。 別れが辛いのなら一緒にいなければいいんだ。 そうやって何年も思ってきたじゃないか… 先輩のさっきの行動に少し流されそうになったが、踏みとどまれてよかったじゃないか。 『…くん?白石くん?』 『えっ?あっ…すみません!!今日はどうしましょう?』 『大丈夫?ボーッとしてたけど…悩み事?』 『いや…まぁ…そんなところでしょうか…』 『そっか。なんか悩んでる白石くんもかっこいいね。』 『あっ…そんな…じゃなくて、今日はどうされますか?』 『うーんと、前髪をこれぐらいで、全体を…』 ダメだ。 仕事に集中しなきゃ。 フロントからなんだか視線を感じたが俺はあえて見ることをせず、お客さんの対応に集中したのだった。

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