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急に決まったサロン対抗のヘアショー。 対抗というだけあって、一応順位がつく。 なぜだか俺と白石が選ばれ、ペアを組んでアンジュ代表として出場することになった。 なんでまた白石と… そう思うけど、心のどこかで喜んでいる自分がいて… ヘアショーまでの一ヶ月間、ほぼ毎日残ってレッスンに励む。 どんな理由でも好きなやつと一緒に時間を共有できることは嬉しいことだ。 まぁ白石はどう思ってんのか知らねぇけど。 『じゃ、頑張れよ。』 そう言いながら店長が帰って行く。 片付けをしている白石に声をかけてレッスンを始めた。 テーマはウェディング。 なんともまぁタイミングの悪い… 誰だよこんなテーマにしたの。 『どんな雰囲気にしようか?』 『そうですね…フワフワな感じ?』 『なに?それお前の趣味?』 自然に…自然に…と心がけ、笑い交じりに話を進める。 『趣味ではないですけどね…でもフワフワは好きかもしれません。』 フワフワね… 彼女はそんな感じの髪型なのだろうか… 『なぁ、白石の彼女ってどんな子?』 『えっ?』 『あっ、ごめん。なんとなく聞いただけ。嫌なら答えなくていいから。』 俺は何聞いてんだよ。 自ら気まずい雰囲気作っちまった… そう思ったのに、白石の口からはスラスラと彼女の話が出て来て… 綺麗で、清楚で、優しくて? 完璧じゃねぇか。 挙句の果てには「大好きなんで」だってよ。 ごちそうさまです。 俺の気持ちを知ってか知らずか聞きたくもねぇことまで聞かされてちょっと気分を害した。 でも逆にそれで踏ん切りがついたというかなんというか… 俺に脈なんて一切なくて、「結婚するな」なんて言葉は通用しないのだと思った。 『よし。じゃぁフワフワで行くか。花とか付ける?』 『あっ…いいですね。生花で行きますか?』 こんな感じで一日目のレッスンは終わった。 『お疲れ。』 『お疲れさまです。』 なんて言いながら店を出るが、帰る方向は同じ。 家までの道のりを二人で歩く。 自然に…自然に… また何度も自分に言い聞かせた。

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