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48 陸side
先輩と二人で歩く。
何度か歩いたけど、全部酔ってたなぁ…なんて。
シラフで一緒に歩いたことがないせいで、何を話せばいいのかわからない。
さっきは、彼女どんな子?なんて聞かれるとは思ってもおらずかなり焦ってしまった。
でも口からスラスラと勝手に言葉が出てきた。
綺麗で、清楚で、優しくて…
おまけに大好きだって。
確かに麗美さんは綺麗で清楚で優しい。
ただ…大好きではない。
でもなぜそんなことを言ったのか…
きっと、先輩に言ったわけではなく、自分に言い聞かせたのだと思う。
大好き…大好き…大好き…
そう、俺は麗美さんが大好き。
だから先輩のことはもう忘れろ。
これは自分への暗示だ。
俺はもうすぐ結婚する。
先輩のことは綺麗さっぱり忘れて、新しい人生をスタートさせなければいけない。
だから…
だから今だけ…
結婚するまでの間だけ…
どうか神様、先輩を好きでいることを許してください。
『なぁ白石…』
『はい。』
『やっぱいいや。』
『なんですか!?』
『彼女と…結婚すんのか?』
『…はい。』
『そっか…。いつ?』
『三ヶ月後です。』
『忙しい時にヘアショーなんて大丈夫か?』
『大丈夫ですよ。』
『店長に結婚するから忙しいって言わなかったのか?店長なら結婚知ってたらこんな担当に当てないだろ?』
『俺が…頼んだんです。』
『えっ?』
『いや、ヘアショー経験しときたかったんで。』
『そっか…頑張ろうな。』
『はい。』
ヘアショーを経験したかったなんて嘘。
店長が誰を担当にしようか迷っていたところに出くわした。
ペアを組むもう一人の担当の名前を聞いた瞬間、俺は自ら手を上げた。
先輩と同じ時間を過ごせるなら…
そう思った。
結婚(タイムリミット)までの時間、楽しく過ごせたらいいな…と思う。
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