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『では、また明日。』
そう言ってお辞儀をすると、白石は家の中へと消えて行った。
ヘアショーまでの一ヶ月間。
こうやって毎日一緒に帰れるのかと思うとワクワクドキドキする。
でも、この前みたいにヘタに手は出せない。
気まずくなるとせっかくの楽しみがなくなってしまうからだ。
白石に触れたいと思う自分の気持ちに蓋をして過ごさなければ…
そう思った。
『結婚か…』
ボソリと呟いた一言に涙が出そうになる。
たった紙一枚、そんなもので永遠を誓い合う。
でも手を出せなくなるのは事実だ。
…だからもう高校生の時で、すでに手遅れなんだって。
自分に笑って言い聞かす。
俺が女だったらよかったのかな…
いや、男でも女でも白石はきっともう俺に振り向いてはくれない。
大嫌いだと言われたことが頭の中を回る。
俺のこと大嫌いなんだろ?
大嫌いなんだったら白石…
もっと俺のことを避けてくれよ。
こんな一緒の時間過ごさないでくれよ。
このままだと…
もっと好きになってしまうじゃねぇか…
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