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『よし、今日も始めるか。』
ヘアショーの練習を始めて3日。
大体の理想図は出来上がってきた。
あとは、ヘアセットの練習をしながら仕上げて行く…といった感じだ。
白石は相変わらず仕事に熱心で、俺の話を聞きながらも自分の考えも口に出し、一生懸命取り組んでいる。
『なぁ、モデルどうする?』
『あっ…そうですよね…自分達で探すことになってましたよね。』
『探すって言ってもなぁ…』
『…』
しばし無言の時間が続き、お互いに考える。
『あっ!!お前の彼女は?』
『えっ!?』
『彼女、綺麗なんだろ?』
『そうですけど…』
『イメージピッタリじゃねぇ?お前も彼女と一緒にいれるし、どう?』
俺はなんてこと言ってるんだ?と、思う。
彼女なんて来たら白石との二人の時間がなくなってしまう…そう思うのに、口からそんな言葉が出た。
『嫌ですよ。』
『なんで?』
『なんででもですよ。嫌なものは嫌なんで。』
『あっそ。』
素っ気ない返事の中に含まれる喜び。
自分で言っときながら、断られてよかったな…なんて。
俺、アホだな。
『今度一緒に街中歩いている子でイメージに合う子を探しに行きましょうよ。』
『そうだな。』
そしてその日の夜も練習を終え、二人で帰ったのだった。
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