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51 陸side

なんやかんやで先輩とのデートを取り付けた。 いや、デートじゃなくて、ただのモデルハントだけど… モデルに彼女はどうだ?と言われた時、かなり焦った。 というか、なんで先輩との二人の時間を邪魔されなきゃなんねぇんだよ…と思ってしまった。 本当、俺重症。 こんなんで結婚できんのかな? 結婚した後は綺麗さっぱり先輩のことを忘れるなんて言ったけど、無理だな…なんて。 まぁ、わかり切ってたことだけど…。 今日、仕事終わりに二人でモデルハントを行う約束をしている。 『お疲れ。』 そう言いながら店長が帰って行き、二人で戸締りをして店を出た。 大体のイメージで女の子を探す。 とりあえず、髪が長くて… 頭の中で考えながらキョロキョロと周りを見渡す。 『いたか?』 『いや、いませんね…』 女の子を二人で探すなんて友達同士でナンパをしているみたいだ。 女の子に声をかけている先輩を見ると、なぜだか少しイラついたりもして… これってヤキモチ? あまりの重症加減に苦笑しながらも、俺も一生懸命に探す。 『あの子どうですか?』 『声かけてみるか。』 二人で声をかけ、事情を話すと快くOKしてくれた。 ヘアショーの前日に打ち合わせをする約束をして、女の子と別れた。 『よかったですね。』 『だな。なぁ、白石。』 『はい?』 『今からどうする?練習しに店戻るには時間遅いだろ?』 『そうですね…どうしましょう…』 先輩の口からどんな言葉が飛び出すのかドキドキする。 『飯…行くか。』 『はい!!!』 俺は嬉しくて大きな声で返事をした。 『声でけぇよ。』 『すみません…』 ただのモデルハントが本当のデートになった…。 嬉しくて嬉しくて仕方が無い。 結婚するまで… 何度も何度も自分に言い聞かせ、先輩の隣を歩いた。

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