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『んー!!』
グゥーっと伸びをして、目を開けた。
見慣れない天井に白石の部屋だったことを思い出す。
『はよ。』
頭を掻きながらテレビを見ている白石に声をかける。
『おはようございます。結構寝ましたね。』
『えっ?今何時?』
『15時ですよ。』
『マジ!?』
あまりに驚いて、飛び起きた。
『何か予定ありました?』
『いや、ねぇけど…』
俺の焦った理由は、白石とこうやって二人でいれるのがきっと今日までだ…と本能で思っていたからで…。
もったいねぇことしたな…と。
恐らく明日からは今まで通り普通の日々が始まって、あんな風に二人で何かをしたり、こうやって家を行き来なんてことはできないと思う。
2ヶ月後にコイツは結婚してしまうし、そうなると二人の時間なんて本当になくなってしまうだろう…
今までそんなに気にしていなかったのに、この一ヶ月間毎日一緒にいて、それに慣れてしまった分これからの毎日を想像するだけで辛い。
『お腹空きませんか?何か買いに…』
『何か作るか。』
そう言うと俺は立ち上がった。
もう今更だけど、最後に俺はできるんだアピールで料理でも作るかな?と張り切って冷蔵庫を開けた。
『何作ってくれるんですか?』
『何食べたい?』
『平岡さんが作ってくれるならなんでも。』
なんだそれ。
無意識で言ってんのかな?
俺が作るならなんでもって…
俺、変に期待しちゃうよ?
冷蔵庫から適当に材料を出し、ベタだけどある物でチャーハンを作った。
『うまっ!!!』
『そう?』
なんて、平然装ってるつもりだけど、本当はすごく嬉しい。
こんなに美味そうに食べてくれんだもん。
作った甲斐があったよ。
『平岡さん料理上手いんですね。』
『そうか?でも家事は好き。』
『すげぇ…俺なんて全部ダメで…』
『まぁ部屋見りゃわかるわな。』
ムッとしながらも、なんだか泣きそうな顔の白石が可愛い。
『いいんですよ…俺はできなくても…。』
『そうだよな。結婚したら奥さんがしてくれるもんな。』
『…』
自分で言って後悔した。
そうだよ。
奥さんが全てしてくれるんだよ。
俺は白石に必要ない。
どれだけ家事ができても関係ない。
一緒に住めば俺が全部してやる?
笑っちゃうよ…
自分で考えて寂しくなった。
『ありがとうございました。片付けもご飯も…』
『おう。じゃぁまた明日。』
頭を下げる白石に手を上げ、俺は家路についた。
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