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白石の結婚式まで一ヶ月を切った。
やはりヘアショーを終えてからの俺たちは二人で何かを話したり、一緒に帰ったり…なんてことをしなくなった。
飲みに誘える日だってあったが、寂しくなるとわかっている分、俺は誘わなかった。
毎日が何事もなく過ぎて行く。
なのに何故だろう…
俺が白石を思う気持ちは日に日に大きくなって行く。
ストップをかけたくても全然ダメで、いつも目で追ってしまって…
鏡越しに合う目はいつも白石によって逸らされてしまう。
そんなに俺のこと嫌い?
ヘアショーまでの一ヶ月間はあんなに楽しかったのに。
俺だけが楽しんでいたということか…。
心の中はポッカリと穴が空いたように寂しくて、何をしていても埋められなかった。
『お先。』
残る何人かのスタッフに声をかけ、店を出る。
『平岡さん!!!』
振り返るとそこには白石がいて、俺の胸は高鳴った。
『ど、どうした?』
『いや…もし時間があるなら、少し見てほしいな…と。』
?
何のことかわからず店へと戻る。
そこには練習用のマネキンがあり、何人かのスタッフがそれを囲んでいた。
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