65 / 81

65

白石の結婚式まで一ヶ月を切った。 やはりヘアショーを終えてからの俺たちは二人で何かを話したり、一緒に帰ったり…なんてことをしなくなった。 飲みに誘える日だってあったが、寂しくなるとわかっている分、俺は誘わなかった。 毎日が何事もなく過ぎて行く。 なのに何故だろう… 俺が白石を思う気持ちは日に日に大きくなって行く。 ストップをかけたくても全然ダメで、いつも目で追ってしまって… 鏡越しに合う目はいつも白石によって逸らされてしまう。 そんなに俺のこと嫌い? ヘアショーまでの一ヶ月間はあんなに楽しかったのに。 俺だけが楽しんでいたということか…。 心の中はポッカリと穴が空いたように寂しくて、何をしていても埋められなかった。 『お先。』 残る何人かのスタッフに声をかけ、店を出る。 『平岡さん!!!』 振り返るとそこには白石がいて、俺の胸は高鳴った。 『ど、どうした?』 『いや…もし時間があるなら、少し見てほしいな…と。』 ? 何のことかわからず店へと戻る。 そこには練習用のマネキンがあり、何人かのスタッフがそれを囲んでいた。

ともだちにシェアしよう!