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『…先輩?』
『結婚するな!!!俺と一緒に行こう!!』
『ちょっと何なのあの人!!』
『誰?』
『何?』
みんながザワつき始め、口々に話し出す。
『陸!!!俺と一緒に行こう!!!』
呆然と立ち尽くす陸の傍に駆け寄り、手を握る。
『なぁ、一緒に行こう?』
今にも泣き出しそうな陸が大きく頷いた。
俺は陸が頷いたのを見て、手をグイッと引っ張りバージンロードを逆走する。
いくつかの拍手が聞こえ、見ると店長達が手を叩いていた。
陸はなぜだか笑い出し、二人でダッシュでチャペルを出ると、結婚式場からも飛び出してひたすらに走った。
駅に着き電車に飛び乗る。
『ハァ…ハァ…ゴホッ…』
『ハァ…先輩、ムチャクチャすぎでしょ。』
そう言いながら笑う陸の頭を撫でた。
『俺と…ずっと一緒にいてください。』
『はい!!!』
返事をしながら大きく頷く陸の頭をもう一度撫でた。
電車を降りて、向かうのは俺の家。
家までの道を二人で手を繋いで歩いた。
すれ違う人に何度も見られたが、そんなことは関係ない。
今、俺はすごく幸せだ。
家に着き、二人で靴を脱いで部屋に上がると俺は力強く陸を抱きしめた。
『もうずっと離さないから。』
『俺もですよ…』
『陸…好きだよ。』
『俺も…先輩が好き。』
お互いに見つめ合いキスをする。
今までの離れていた時間を埋めるかのように、触れるだけのキスを何度も何度も繰り返した。
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