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第4話

「だって生徒手帳、僕の部屋の前に落ちてたんだから」 「……離れ…ろ」 「どう思った? 見てどう思ったの?」 こいつは誰なんだ? 目の前にいるやつは、あの怖がりで、臆病なあの龍之介か? 「……そんなん聞いてどうすんだよ!」 「ドS心そそられた?」 「はぁ?! 誰がドSだ!!」 「僕の中で一番はちーちゃんだよ。僕の女王様……」 俺の耳元に顔を寄せた龍之介は、耳輪を強く噛んだ。 「いっ!!」 耳の激痛に顔を歪めながら足を蹴り上げた。その足が龍之介の足の脛に命中し、龍之介が呻きながら蹲った。俺は肩で息をしながら蹲る龍之介を睨んだ。 「へっ変態ホモ野郎!!」 下から見上げる龍之介は、潤んだ瞳で俺をうっとりと見た。俺の腰に抱き付こうとするその手を容赦なく引っ叩いく。 「そうでないと手加減なしに殴ってくれるのちーちゃんだけだよ」 龍之介はヘラっと笑い、俺が引っ叩いた手をペロリと舐めた。ドアを開けて出ていこうとした龍之介が振り返える。その顔はあの時、見た別人の顔だった。 「僕……ドSを狩るの趣味なんだよね〜〜でもこうなったのちーちゃんのせいだから。ちーちゃんには責任取ってもらうよ」 「近寄るな!」 「ヤダよ……アナル処女、誰かに奪われないようにしてよね。そこに突っ込んでザーメン塗れにしていいのは僕だけだから」 「黙れ! クソ! 死ね!」 龍之介の荷物を投げ付け、玄関のドアを勢いよく閉めた。

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