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第5話
あれマジで龍之介か? 俺がなにしたんだ? いや、確かに俺は……思えば、あいつに酷い悪戯をしていた。
幼稚園の時、教室で龍之介が椅子の上に乗ってなにかを取ろうとしていた。俺はただ驚かすつもりが龍之介は椅子から落ちた。棚に打つけ額を切って四針縫った。
龍之介は泣きながら「椅子からよろけて落ちたんだ! 自分が悪いんだ!」と言っていたらしい。それから龍之介は、遠慮がちに笑うようになって俺はその顔が大嫌いになった。
小学生では何も言わないのをいいことに、俺は調子に乗って学校の遊具から龍之介を突き落とし左腕骨折させた。それでも龍之介は俺がやったって言わなかった。
俺に殴られても、蹴られてもなにも言わない。ヘラヘラ笑うばっかりだ。俺は気味が悪くなって距離を置いたのに龍之介が「僕を避けないで!」って泣きながら言ってきた。
酷くされてんのに……今も変わらず……
優しくなんて微塵もしてやってないのに……優しくなんてする訳ないし、 そんなんしたら龍之介の餌食になるだけだ!
あの野郎……近付いたらフルボッコにしてやる!
「なぁ! おまえらなんなの? 龍之介は傷だらけだし、千尋は機嫌めちゃくちゃ悪ぃし!なんなんだよ!」
高田 順平ことたかちゃんが昼休み俺と龍之介を交互に睨み付けた。
「うっせ! 近付くなつったのにこいつが家の前にいんのが悪い!」
「その理由は?」
「こいつに聞けよ!」
俯いていた龍之介がついに泣き始めた。それを見て右往左往するたかちゃんは、俺になんとかしろよと小声で言った。クラスの女子、男子までもこちらを見ている。その視線に堪えきれず、俺は立ち上がり龍之介の腕を掴んだ。
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