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第6話

「分かったよ! 保健室連れて行けばいんだろ!」 くっそ! なんで俺が! 俺はノックなしに保健室の扉を開けた。 「先生、怪我人ってあれ? いないの?」 「大丈夫だよちーちゃん」 さっきまでなんも話さなかった龍之介がヘラっと笑った。クッソ!殴りてぇ……いっいや、ここは我慢して…… 「なんで俺がやんなきゃなんねぇんだよ。お前が悪いんだろ」 「……うん、そうだね」 「近付いたら殺すつったよな?」 うんうんと首を縦に振る龍之介は、また泣きそうな顔をしている。 「おまえが悪いのになんでんな顔すんだよ」 「……だって避けられんの嫌だから」 「じゃなんであんなこと言ったんだ」 「だって……千尋にもっと殴って欲しかったから」 「 はぁ!? 」 龍之介が俺の左手を掴んだ。別人格のスイッチが入ったのか、俺は危険を感じ後ろに下がった。龍之介は、俺の左手を掴む力を強めながらにじり寄ってくる。 「見てこの傷も……ここの傷も全部! 千尋が付けたんだよ……もっと殴ってよ! もっと傷付けて!」 「嫌だ……寄るな! は…離せ! 離せって!」 龍之介はシャツをはだけ、俺が付けた身体の傷を見せた。 「来るな! おっおまえなんか大嫌いだ!」 俺は、龍之介を置いて保健室を出ていった。

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