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第10話

「っっ! 降ろ…せ!」 「嫌だ! ちーちゃんより背が高くてよかった……」 「はぁ?! おまえケンカ売っんっっ、んっっ!」 龍之介は下から俺にキスをした。ぬるっとした舌の感覚に、一瞬思考が止まった。俺は宙に浮いた足をバタバタ動かした。それが龍之介に当たり蹲った。 「おまえ……俺を怒らすの本当得意よな!」 「ちーちゃんが僕を嫌いでも僕は……ずっと好きだった! 蹴られても殴られてもその傷跡を見ると嬉しかった。ちーちゃんだから平気だった。ちーちゃんじゃないとダメ……嫌いでもいいから傍にいさせて……傍にいて」 「じゃ……俺の前でもちゃんと笑えよ! 好きならなんで他のやつとあんなことすんだよ!」 「笑うからちゃんと笑うよ! あれは……違う!僕、そっち系の人になんでか襲われんの!」 「そっち系ってなんだ!」 「SとかMとか……」 「もういい! この変態!」 「待ってって! 襲われそうになったから返り討ちにしただけで、それにあれは……その…素股だから」 すすすす!!!!素股?! 「黙れ! こっちあんなグロいエロ見せられてお陰で知りたくないもんまで……っ!」 「待って! ちーちゃん!」 「うるせぇ! 帰れ!」 俺の足に縋る龍之介を押して退け、玄関のドアを閉めた。俺はそこに蹲まりキスされた唇に触れる。 っなんだよ……!! それにあいつ…… 初キッスはなんとかの味? とかのつもりか?! 「っっ!レモンの味とかさせてんなよ……龍之介のくせにっ……」 龍之介のくせに! 生意気だ!

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