10 / 15
第10話
「っっ! 降ろ…せ!」
「嫌だ! ちーちゃんより背が高くてよかった……」
「はぁ?! おまえケンカ売っんっっ、んっっ!」
龍之介は下から俺にキスをした。ぬるっとした舌の感覚に、一瞬思考が止まった。俺は宙に浮いた足をバタバタ動かした。それが龍之介に当たり蹲った。
「おまえ……俺を怒らすの本当得意よな!」
「ちーちゃんが僕を嫌いでも僕は……ずっと好きだった! 蹴られても殴られてもその傷跡を見ると嬉しかった。ちーちゃんだから平気だった。ちーちゃんじゃないとダメ……嫌いでもいいから傍にいさせて……傍にいて」
「じゃ……俺の前でもちゃんと笑えよ! 好きならなんで他のやつとあんなことすんだよ!」
「笑うからちゃんと笑うよ! あれは……違う!僕、そっち系の人になんでか襲われんの!」
「そっち系ってなんだ!」
「SとかMとか……」
「もういい! この変態!」
「待ってって! 襲われそうになったから返り討ちにしただけで、それにあれは……その…素股だから」
すすすす!!!!素股?!
「黙れ! こっちあんなグロいエロ見せられてお陰で知りたくないもんまで……っ!」
「待って! ちーちゃん!」
「うるせぇ! 帰れ!」
俺の足に縋る龍之介を押して退け、玄関のドアを閉めた。俺はそこに蹲まりキスされた唇に触れる。
っなんだよ……!!
それにあいつ……
初キッスはなんとかの味? とかのつもりか?!
「っっ!レモンの味とかさせてんなよ……龍之介のくせにっ……」
龍之介のくせに! 生意気だ!
ともだちにシェアしよう!