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第11話

「ちーちゃん、いつもみたいに打って」 龍之介が登校中、俺を見るなりしれっとおバカ発言してきた。 こいつ……本当に馬鹿なの?! 俺は昨日ずっと考えてた。そして出た結論は龍之介になに言われても相手にしないだった。隣にいるたかちゃんが、龍之介の顔を見てぎょっとなった。 「りゅーちゃん朝からファ…ファンキー! イケメンが……えらいことになってっし」 昨日、俺にキスをしようとして強打した額が腫れ上がっていた。 「おい! なんか悪化してねぇか?」 「知らねぇよ! あいつが俺をイラつかせんだよ」 「それになんか変なスイッチ入ってるし……なんとかしろよ」 「二人でなにコソコソ話してんの? ちーちゃん、たかちゃん」 のろ臭い喋りで龍之介が小声で話す俺とたかちゃんに絡んでくる。 「たかちゃん! ちーちゃんって!」 ああ! うるせぇ! 殴りて!! 「う~る~せぇ~なっ!」 俺は堪らず龍之介に鉄拳を向けた。 しまった! 龍之介は避けようとしない。目を閉じて殴られるのを待っていた。 俺は拳から途中でデコピンに変え鼻の頭を弾いた。 「あっん!」 「バカが!よっ避けろよ!」 龍之介は鼻の頭を押さえうっとりとした顔で俺を見た。 げっ! なんかやな予感がする…… 「た…たっちゃった……」 はぁ?! 「知るか! 変態!」 「おい、千尋!」 俺は二人を置いて歩いた。遅れてたかちゃんが俺に追いかけてきた。 「千尋、前から思ってたけどさ龍之介にもう少し優しくしてやれよ」 「なんで俺が!」 俺だってそうしたいよ…… でもあいつが……龍之介を見るとイラつくんだよ!

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