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第13話

「……失礼しました」 マジでなんなんだよ! 厄日か?! 窓ガラスが割れる音を聞いて、駆けつけた先生に職員室へ連行され生活指導の先生に説教をくらった。 「あ……最悪。なにもかも龍之介のせいた!」 ん? 正門によく知っている顔が見えた。サラリーマン風の男に腕を掴まれている。 「あれって……まさか龍之介? あ〜の〜野郎! 」 学校の前でなにやってんだよ! 正門まで猛ダッシュし、その勢いで地面を蹴ってジャンプした。 「龍之介! うらああああ!!」 「ち……ちーちゃん?!」 「なにボーっとしてんだ! 逃げんぞ!」 飛び蹴りが見事に命中し男が倒れた。ポカンっとアホ面をする龍之介の腕を掴んで走った。 暗くなり始めた路地に街頭が灯る。用水路の橋で走る速度を緩め、橋の半ばまでくると足を止めた。 「はぁ……はぁ……おまえなにやってんだよ。嫌ならちゃんと言えよ!」 「はぁ……はぁ…ゴホッゲホッ! ……だって道分かんないって言うから」 「ベタな誘い方に乗ってんじゃねぇよ! 道分かんないやつが人の体ベタベタ触らねだろ!」 「あ……そっか」 「バカか!」 「ごめんねちーちゃん。でもちーちゃんこそなにしてたんだよ」 「……ゴミ箱投げたら窓に直撃。先生に見つかって怒られた。その話しが長くてぁ…先生のハゲだ頭見てたら笑けてきて」 「それは酷いな」 「……なにがおかしいって聞かれたら「見事なハゲっぷりで」って言ったら、さらに説教が伸びた」 「ちーちゃん、それ本当に言ったの?」 「……うん」 「ひっでぇ……ぷっ! くくく」 龍之介が急に笑い出した。笑いのツボに入ったのか、腹抱えて笑っている。 久しぶりに見た龍之介がたのしそうに笑うとこ____ 「……んだよそんな笑うなって」 「だって、本当バカ正直だよね」 「んだよ! せっかく助けてやったのに!」 「ごめん。助けてくれてありがとう」 照れ臭くなった俺は俯き顔を隠した。 「千尋……」 龍之介は俺の腕を掴んで引き寄せた。 やばい____キスされる!! 俯いて目を瞑った俺の肩に、龍之介が顔を寄せてくる。 「……誰かに見られたらどうすんだ」 「誰も見てないよ。俺、千尋が好き。卒業式の日まで待つから真剣に考えてよ。これが最後だから……ね?」 「分かったからもう離せって」 「ごめん迷惑なのは分かってる。じゃまた明日」 なんで……最後とか言うんだ……俺にどうしろって!

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