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第14話

龍之介が俺と距離を置くとか、無視するとかなく至って普通だった。好きだとかおかしな言動も言わなくなって、あまりにも普通で気持ち悪いくらいだった。 俺は龍之介ってどんなやつか考えみた。臆病で変なやつとしか認識していない。幼馴染で家が近いからといって全部知ってる訳じゃない。興味すらなかったのに…… 学校では龍之介を見るといつの間にか目で追ってるし、あっやっぱりモテんだなとかクラスに友達いるんだとか、こうやって直接目にすると俺の知らないことだらけだって気付く。 そして俺がなぜ龍之介に対してイラついていた理由に気付いた時には、もう色んなことが忙しくなっていた。龍之介やたかちゃんもそれぞれの進路について具体的に進めていかなければならなかった。 センター試験も終わり、自由登校になっていた学校に久しぶりに登校したら、たかちゃんと龍之介もたまたま学校に来ていた。 その帰____ 俺とたかちゃんは今やっているゲームの決着をつけるべく、地元の小さなゲームセンターに来ていた。 「久しぶりだぜ! ゲーセンとか。ずっと勉強してたからな」 たかちゃんはゲームーのボタンを軽快に弾いた。 「そうだな俺も久しく来てなかった。うりゃ!」 「おまえが急に大学いくとか言い出したからびっくりしたぜ。クッソ!」 「たかちゃん! 俺の勝ちだ! おりゃ!」 「おまえ! やべぇ! うわぁ!」 「俺の圧勝!」 「ああ! くぅっ〜! また負けた!」 「肉まん奢り決定!」 「クッソ!」 「あれ? りゅーちゃんは?」 「さぁ、どっかでゲームやってんじゃね?」 「つーか千尋、りゅーちゃんとなんかあった?」 「……なんもねぇけど? なんだよ!」 「なんかね〜〜優しくなったつーか、まっこっちとしてはよかったなって思ってんの」 「はぁ?!」 「分かんなかったらいいや。そろそろ行こうぜ」 俺は辺りを見渡して龍之介を見付けた。声を掛けようとしたんだけど……龍之介のただならぬ雰囲気に躊躇した。パンチングマシンのゲームを凝視して動こうとしない。 なにかぶつぶつ言いながらグローブを右に装着し、ゲームにコインを入れた。立ち上がる丸い打撃対象面にグローブを装着した右手で勢いよく殴った。 げぇ! すんげぇ音したんだけと!? 「あっ、あれりゅーちゃんじゃん。あはは……なんか召されてるね。完全に……健気だね。つーか溜まりまくってますって顔してんじゃん」 俺の顔を見てニヤつくたかちゃん。なにを勘ぐってんのかさっきからおかしい。 「だからさっきからおまえなんなんだっつーの!」 「好きなんだろ。りゅーちゃんのこと」 はぁ!? なぜそうなる! 「ああ、俺そうゆーの偏見ないから大丈夫! ちゃんとしてやれよ」 「なにを!」 「返事だよ。あっ! 俺これからバイトだ。悪りぃ行かないと」 「あっ、たかちゃん! 肉まんは!」 「今度な!」 クッソ! 逃げやかったな高田! 「……分かってるよ。おまえに言われなくったって」

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