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第22話
お互いに好きなDVDを借りて、一緒に来た道を帰った。
その間は、犬がうるさいとか公園に人がいないとか、普通の世間話をしていたと思う。
「やっぱりこのマンション?」
「はい…このマンションに住んでます」
住んでいるマンションを指差して、もう一度確認すれば、やっぱり同じマンションだった。
俺の住んでいる5階は、恋人同士や家族連れで住んでいる場合が多く、虚しくも間取りと家賃がそれ相応だ。
2階までは、1人暮らし以上は入居できないようになっていて、それもそれ相応。
「今から、俺の部屋来る?」
なんだか俺は、さっきからおかしい。
俺の意志とは反対に、口が勝手に喋り出す。
でも、どこかで期待してる自分がいる。
「行きたいです!」
だって、期待通りに発言と行動をしてくれるから。
「はは、そんな目輝かせても俺の部屋何もないけどね」
「仁先輩の部屋に入らせてもらえるだけで嬉しいです!あっ、その前に一回僕の部屋に寄ってもいいですか?」
「うん、いいよ。DVDは一緒に観るから置いてきちゃダメだよ?」
「ふふふ、大丈夫です」
なんとなく俺は千秋ちゃんに着いて行かず、2階のエレベーターの前で1人待った。
ニコニコと嬉しそうに歩く後ろ姿は、ふわふわと花が舞っているような気さえする。
千秋ちゃんが部屋に入って、3分も経っていなかったと思う。
速攻で部屋から出てきた千秋ちゃんの手に、大量のお酒と野菜を持っていた。
「どうしたのそれ?」
小走りで俺の元に帰ってきた千秋ちゃんは、少し息を切らしていた。
「あっ…実家から、大量に野菜を貰ったんです。それとお酒は知り合いから…でも家だとそんな飲まないから残ってて…」
「そんな、俺もいただいちゃっていいの?」
「1人じゃ料理はそんなしないし、お酒も…なので一緒に食べ飲みしてもらえると嬉しいです!」
「そっかそっか、ありがとう。ありがたくいただくね」
冷凍庫に豚肉があったことと、冷蔵庫に卵とチーズがあったことを思い出し、何を作るか頭の中でなんとなく決めたところで部屋に着いた。
「普通に普通の部屋だけど、どうぞ〜」
「おじゃましまーす」
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