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第24話

今日は、何でもない会話をして、楽しく過ごした。 今までは同じサークルだったっていうだけで、まともに会話したこともなく、正直こんな人だったんだという発見が多くあった。 例えば、千秋ちゃんは小柄なのによく食べる。 普通より少し大きめのお茶碗も、2杯ペロリと食べきった。 1歳違いで育ち盛りなワケでもないだろうに、1杯で十分な俺より男らしかった。 それから、意外と表情が豊か。 今日は即席料理にも関わらず「美味しい美味しい」と本当に美味しそうに食べてくれた。 俺が話すしょうもないことも真剣に聞いてくれて、よく笑ってくれた。 千秋ちゃんの笑い方は上品で、口を大きく開けて笑うことはなくても、顔をくしゃっとさせて笑う。 上品さは食べ方にも出ていて、家族に愛されて育った感じがする。 「そういえば、千秋ちゃんって兄弟いるの?」 「えっ、一人っ子ですよ。先輩は?」 「えって何よ〜?俺はすこーし歳の離れた妹が1人!」 「だって誰がどう見ても一人っ子ですもん…僕」 「ははは〜確かにね!愛されて育った感じがする」 お酒が原因か俺の発言が原因か……千秋ちゃんの頬が赤くなった。 そこを、ツンツン突いてみる。 「頬が真っ赤ですよー」 「やめてくださいー」 俺の口調をマネして、嫌がって見せた千秋ちゃんは可愛い。 「はは、千秋ちゃんお酒はもう飲まない?」 「あー僕はもうヘロヘロになっちゃうのでやめときます」 「俺もうちょっと飲もうかな〜」 「どうぞー」 千秋ちゃんは、お酒を自分でセーブできるタイプだった。 あの日みたいな飲み方はせず、後半はお水をメインで飲んでいた。 その様子を見ながら、カシュッと音を立てて、また1本お酒のフタを開ける。 「千秋ちゃんって冬産まれっぽいよね、肌白いし」 「なんですか突然!すごい偏見」 なんとなく思ったことを口に出したら、千秋ちゃんはケラケラと笑い出した。 「俺、結構勘強いんだよ〜?本当は1月とかじゃないの?」 「違いますよー」 「え、夏?」 「んーほとんど夏ですね、7月の頭なので」 「へーそっか…え?何日?」 「じゅ…12日」 意外ともうすぐだ…… どうしようか、ここまで手を出しておいて、誕生日を無視するなんてして良いものだろうか。 そろそろ、バチが当たるような気がする。 でも、不思議と誕生日を祝いたいと思う気持ちもあった。 「千秋ちゃん……その日何してるの?」

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