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第424話

 痛いのも好きじゃないし、決してマゾではないけれど、彼は使い分けが上手なのだ。痛くするのも、痛みを快感に変えるのも、甘く蕩けるような愛撫も、俺の体を知り尽くした正和さんにかかれば造作ない。 「正和さんの、いじわる……っ」 「いじわるするって言ったじゃん」  クスクス笑ってそう言った彼は、俺の唇を指先でツーッとなぞり、ニヤリと口角を歪ませる。 「どうしてほしいか教えてくれないなら、このまま俺の好きなようにするよ」 「~~っ、気持ちよくしてって……言ってるのに」 「してるでしょ。純も気持ちいいって言ってたじゃん」  意地悪な笑みを浮かべた正和さんが再び胸に手を伸ばしたので、脚をもじもじと擦り合わせて首を横に振る。 「下も、さわって」 「触るだけでいいの?」 「っ、こ、こすって……、中も正和さんのでいっぱいに、して……」  顔を真っ赤に染めて精一杯のおねだりをすれば、望み通り彼の手は下へ伸びる。  カチャカチャと音を立てながらベルトが外されるのを、恥ずかしくて直視できない。けれど、気になって軽く見下ろしていたら、ふと顔を上げた正和さんと視線が絡んで、泣きたくなった。 「やらしい」 「っ……みない、で」  スラックスのジッパーを下げて下着を軽く捲った正和さんは、そそり立つそれを握って、親指で鈴口をぐにぐにと捏ね回す。 「ふふ、かーわい。こんなに濡らして」 「あっあぁ」 「……すぐイっちゃいそうだね」  そう言いながら屈むと、彼は躊躇いもなくそこに顔を(うず)めた。 「や、そんなとこ……っ」    拒否する間もなく、(たかぶ)ったそこを根元まで咥え込まれて、下半身が熔けるような快感に包まれる。  ――あったかくて、ぬるぬるして気持ちいい。  彼にしたことは何度かあるけれど、自分がされるのは初めてで、想像以上の愉悦に、たまらず甘い吐息を零した。

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