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第430話
それなのに。彼は煽るような手つきで抽挿し、悪戯に胸を撫で回す。ちゅっちゅっと啄むようなキスをして、くちゅっと舌が入ってくると、味わうようにねっとり舌を絡めて、吸い上げられた。
「ふっ、ぁ……んんっ」
唇を塞がれてしまったら、言葉も紡げなくなってしまう。蕩けるような熱いキスに、抗議する気力も、理性も、全て奪われて、彼の動きに身を任せた。
「ん、んぅ、はぁ……っ」
「かわいい。……どの体勢がいい?」
「なんでも、い、から……はやく、ちょーだい」
「じゃあ、純が上に乗って」
「へ……?」
彼に体を起こされて、仰向けに転がった彼の上に跨 がせられる。
「どうしたらいいの……?」
「純の好きにしていいよ」
いつの間にズボンを脱いだのか、彼は屹立 した熱いものを俺の臀部 に押し当ててくる。
てっきり正和さん主導でしてくれるものだと思っていたから、突然のバトンタッチに戸惑った。
彼はそんな俺を楽しそうに見上げながらシャツを脱ぐ。
「早くおいで」
「っ……」
喉をゴクリと鳴らして腰を上げ、彼のものに手を添えれば、彼はスーッと細めた目で俺を見た。厭らしい視線に、全身がかあっと火照って熱くなる。
恥ずかしさから逃れるように視線を逸らして目を瞑れば、わざとらしくクスクス笑う声が聞こえてきた。
けれど、気にしたら彼がさらにからかってくるのは目に見えているので、入れることだけに集中する。
「ん……はぁ、ああっ」
ゆっくり腰を落とせば、熱く猛ったそれがググッと肉環を割って中にはいってくる。十分にほぐしてもらったおかげで、いつもキツイ亀頭部分ももすんなり受け入れることができた。
「はぁ…ぅ」
「ほら、休んでないで動いて」
正和さんは俺の腰に手を添えると、下からズンと突き上げてくる。ほんの一回、少し刺激されただけだが、他の体位より深いところで彼を感じるせいか、目の前がチカチカした。
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