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第437話
テスト最終日は、正和さんに教えてもらったおかげでスラスラ解くことができた。彼がまとめておいてくれた所がそのまま出てきたので、点数もきっと悪くないはずだ。
あとは修了式まで大した授業もないし、適当に流していればあっという間に春休みが来るだろう。
「──そんなの買ってどうするの? 絶対着ないって言ってるよね」
今日は日曜日で休みだったので、数日前に約束していた普通の服を買いに行った。拓人に教えてもらった店で、年相応のかっこいい服が手に入って満足だったのだが、何故かエロい水着の店に連れてこられて、彼は厭らしいデザインのそれを何着か手に持っている。
「純が着たらすごく可愛いと思うよ」
「そういう問題じゃないし」
「それに、もしかしたら気が変わるかもしれないでしょ」
絶対に着ないと言い張ったけれど、結局彼は五着ほど買っていた。決して安くはないのに、馬鹿だなぁと思う。
もう少し大人しめのデザインだったら、正和さんの前でだけなら着てあげても良いかな、なんて思っていたけれど、さすがにあれは無理だ。水着は学校で使っているやつを持って行こう。
帰りは前から気になっていた洋食屋さんのオムライスも食べれて、とても充実した一日だった。
二人でお風呂に入った後は、彼がテレビドラマを見始めたので、俺も隣に座ってスマホゲームをしながらのんびり寛いでいた。しばらくすると番組が終わってしまったのか、俺のスマホを覗き込んで話しかけてくる。
「……純は何か欲しいものないの?」
「さっき服買ってもらったし、特にないよ。なんで?」
「んー、なんとなく。あ、玩具あげようか」
ニヤニヤ笑ってそう言った彼の言葉に顔を引きつらせれば、グイッと腰を抱き寄せられて、彼の胸を押す。
「いらないよ! てか、たくさんあるじゃん」
「それもそうか」
「──ねえ、今日はやだからね。明日も学校あるし」
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