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第443話

 まさか彼からのプレゼントで夜這い対策ができるとは思ってもみなかった。願ったり叶ったりだ。  散らかっている箱やプレゼントを自室に片付けて、寝袋を正和さんの部屋のベッドへ運ぶ。  掛け布団を捲って、いつも寝ているところに乗せれば、黄緑色のそれは、ぽよんと弾んだ。色も形も、落ち着いた寝室には不釣り合いで、かなり違和感がある。 「待って、これ絶対おかしいって」  いくら自分に似ていると言われたからって、普通買ってくるだろうか。俺なら絶対買ってこない。  笑いながらベッドに上がって、ウツボカズラの寝袋を掴んで足を入れる。そのまま体を滑らせれば、全身がすっぽり覆われた。  「ん……」  ふかふかしていて、あったかい。手足はあまり動かせないけれど、包まれている安心感から眠くなってくる。正和さんに抱きしめられているような感覚で、とても心地よかった。 * 「ん……ぁ……」  体が重い。なんだか息苦しい。 「ふふ、可愛い」  けれど。熱くて。ふわふわして。気持ち良い。 「ぁっ、ぁ」  腰骨の奥がぞくんと痺れるような感覚に目を覚ませば、楽しそうに目を細めている彼が傍にいた。 「あ、う……なにして……」 「獲物がかかってたから食べちゃおうと思って」 「はぁ……?」 「これさあ、こうやって抱きしめちゃうと純逃げられないよね」  彼はそう言って、ぎゅっと俺を抱き締めると、股関を揉んでくる。  寝袋越しに厭らしく触られて、腰がビクビク震えるのに身動きが全く取れなくて、瞳がじわりと濡れた。そのまま唇まで重ねられてしまったら、小さな抵抗さえも、できなくなってしまう。 「んんっ、ん、ン……はぁっ」  けれど、頭を左右に振って必死に抗えば、彼はクスクス笑ってすんなり唇を離した。 「……いま何時?」 「まだ九時だよ」 「早かったね」 「うん。時間あるしシちゃおっか」  ニヤリと笑った彼の表情に背筋がぞくりと震える。こうなったら、イヤイヤと拒んでも、いいように煽られて、体を火照らせてしまうのだ。  寝袋が夜這い対策になると思っていたのに、その希望はあっけなく散った。

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