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いじわる彼氏とハネムーン 446

 このあとまた食事が出てくるのかと思うと、少し食欲が落ちる。けれど、自分で持ってきた物を残すことはできなくて、たくさんあった料理を平らげた後、ケーキまで食べてしまった。  ケーキは最初に見た時から、美味しそうでデザートに食べると決めていたから仕方ない。  満腹で、これ以上食べられそうもないけれど、正和さんはお酒と軽食程度に留めていた。 「あとどれくらい?」 「一時間かな」 「ジュース持ってきて良い?」 「いいけど、何本目?」 「四本目……?」  少しはにかみ(・・・・)ながらそう答えれば、彼は苦笑する。 「お腹壊さないでね」 「こわさないよ!」  その後も彼と他愛ない会話をしていたら、時間なんてすぐに過ぎて、搭乗時刻となった。荷物はスマホくらいしかないので、身軽に飛行機に乗り込む。  正和さんは手を繋ごうとしてきたけど、さすがに人目が気になって軽く交わした。 「席、そこね」  指さされた窓側の座席に座ると、正和さんも隣に腰掛ける。 「やっぱ古い型だと少し狭いね」 「そうなの? 凄い広いじゃん」  たしかに背の高い正和さんからすると、少し狭いのかもしれないが、それでも十分な広さだ。 「まあ、広いと席も離れちゃうしちょうどいっか」 「……ねえ、これ、このマーク。椅子がベッドみたいになるの?」 「うん。ゆっくり寝れそうだね」 「向こう着くのって朝だっけ?」 「そうだよ。だからちゃんと寝とかないと」  シートベルトをしっかり締めて、手を膝に置く。ドキドキしながら離陸するのを待っていたら、何故かクスクス笑われてしまった。 「これから授業でもうけるの?」 「え」 「もっとリラックスしてていいんだよ。そんなシャキッと座らなくても」  彼は笑いながら、硬く握りしめていた俺の手に、するりと指を絡ませて優しく握る。

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