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いじわる彼氏とハネムーン 449

 どうしよう、と冷や汗をかきながら目をぎゅっと瞑ったけれど、そんな心配は杞憂に終わった。散々俺のそこを弄んでいた手は、呆気なくズボンから出ていったのだ。  恐る恐る彼の方を向けば、彼は何事もなかったかのように水を飲んでいる。中途半端に放置された男根はピクピク震えて、行き場を失った熱が腹の中でもんもんと渦巻いた。 「あ、う……ひどい」 「なぁに? 続きする?」 「っ……いじわる」  彼からプイッと顔を背けて、毛布を頭から被り気持ちを落ち着ける。しばらく熱は収まりそうにないけれど、俺にはどうすることもできない。 「ふぅぅ……っ」  ──熱い。イキたい。擦りたい。  そう思いはしても、こんな所じゃそんなことはできない。いっそトイレで抜いてこようかとも思ったけれど、一人でイける自信はなかった。それがまた悔しい。 「キャンディあげる。純の好きなイチゴ味」  ……食べ物で機嫌直ると思っているところもちょっとだけむかつく。  彼のことを起こしてしまったのは悪かったけれど、飛行機の中でこんなことをするなんて最低だ。 「いらない。寝る」 「じゃあ、キスして」 「────」  頭からかぶった毛布をぎゅっと握り締めて彼の言葉を無視する。  そのまま眠ってしまおう、そう思ったのに、頭を優しく撫でられてしまって調子が狂う。その直後、毛布越しでも彼の顔が近くに来たのがわかって、胸がドクンと高鳴った。 「じゅーん」  耳元で、そんな甘ったるい声で囁かれたら、たまらない。  誘われるように体が勝手に動いて、毛布を少しだけずらしてしまう。彼と目が合うと、彼は優しく微笑んで俺の顔から毛布をそっとどけた。  そのまま唇に触れるだけの優しいキスが降ってきて、なんだか泣きたくなってくる。 「愛してるよ」 「……ずるい」 「着いたら甘いもの食べにいこっか。ホテルの近くに純がチェックしてたお店があるみたい」 「…………たくさん食べちゃうからね」 「ふふ、もちろん」  どちらからともなく、もう一度唇を重ねて啄むようなキスをする。  決して食べ物に釣られたわけではないけれど、到着が楽しみで待ち遠しかった。

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