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いじわる彼氏とハネムーン 453

 けれど、途中からお腹いっぱいで少し気持ち悪くなってしまって。彼の助けを借りてなんとか食べきることができたが、次からはちゃんと量を考えて頼もうと思った。  ドーナツに罪はないけれど、しばらくは控えたい。  食べたあとは、ホテルのすぐそばのビーチ周辺を散策した。  海に足だけ入ったり、土産屋を覗いたり。観光は結婚式が終わってからすることにしたので、それまではのんびりと過ごすつもりだ。 「写真撮るのって明日だよね。お昼食べたあと?」 「うん。午後からだけど、準備があるからお昼は早めに食べないとね」 「ふーん。……化粧とかするの?」 「純は化粧なんかしなくても十分かわいいよ」  真面目な顔でそう言われてしまうと、なんて返したら良いのか分からなくなってしまう。否定するのも違う気がするし、かといって可愛いと言われても素直に喜べない。  苦笑すれば、彼にそっと腰を抱き寄せられた。  ホテルに戻ると服を脱がされて、剃刀で腕や脚などの毛を全て剃られてしまった。完全に毛がなくなった手足を見て違和感を覚えたけれど、ツルツルしていて肌触りがとても良いので気に入った。  夜は、正和さんの食べたいものに合わせて、ステーキを食べに行った。歯ごたえのあるがっつりしたお肉は、久しぶりで食べ盛りの俺も満足だ。  そして翌日。俺と正和さんは十時頃までぐっすり眠っていた。移動の疲れと睡眠不足による眩暈はすっかりなくなっていて体が軽い。 「レーズン入ったパン、凄く美味しかったね」 「純、たくさん食べてたもんね」  クスリと笑った彼は悪戯に俺の腹部をポンポンと撫でる。食べたばかりで膨らんでいるお腹を触られるのはなんだか少し恥ずかしい。 「……あのパン明日もあるといいなぁ」 「あれはたぶん、毎日あるやつだと思うよ」 「ふーん。そうだといいな、毎日あれ食べたい」 「そんな気に入ったの? じゃあ、今度家でも作ろっか」 「え、作れるの?」 「うん。伸ばした生地にカスタード塗って、くるくるするだけだから簡単だよ」  俺の好物を何でも作れてしまう正和さんはやっぱり凄い。

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