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いじわる彼氏とハネムーン 454
「今度、俺にも作り方教えて」
「もちろん。一緒に作ろう」
ラウンジで朝食兼昼食をとってから部屋でしばらく休憩していると、ヘアセットなどをしてくれるお姉さんがやってきた。
ドレスを着るのは嫌だけど、こっちなら知り合いもいないし、まあいいか。なんて、昨日までは軽く考えていた。だが、実際に着せられるとかなり恥ずかしくてだめだった。
部屋の中とか誰もいない所ならまだしも、外で写真を撮るなんて無理だ。ホテルから一歩も出たくない。
やっぱり嫌だと駄々をこねれば、正和さんとお姉さんは困った顔をする。
それでも、強制する気はないらしく、優しく「おねがい」と説得してきた。
「室内じゃ、だめなの?」
こんな格好で外を歩いたら、きっとみんなの笑い物になるに違いない。それは耐えられないと思った。そうなるのが分かってて行けるほど、打たれ強くはない。
「……泣かないで。純が嫌なら無理にとは言わないよ」
ひどく落胆した様子の正和さん。彼はずっと楽しみにしていたから、本当は叶えてあげたい。だけど。
「……ごめん」
俺が床にしゃがみこんで部屋が静まりかえる。その直後、室内にプルルルという機械音がけたたましく鳴り響いた。それは部屋に備え付けの電話の音で、着信を知らせて赤いランプが点滅している。
俺に合わせて屈もうとしていた正和さんは、ため息をつくと受話器を取って通話に応じた。
どうやらフロントからかかってきたようで、今から誰かが来るらしい。
電話を切ってしばらくすると来訪を知らせるチャイムが鳴り、正和さんが玄関へ向かう。
「──遅い!」
彼が扉を開けて部屋に招き入れると同時に、声を荒げた少年が中に入ってきた。その人物は以前写真で見たカメラマンで、実際に見ても、とても正和さんと同い年には見えない。
「わあ……めちゃくちゃ綺麗じゃん。何を躊躇ってんの。ほら、早く行くよ!」
「え、え……や、あの、ちょっと待って」
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