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いじわる彼氏とハネムーン 461

「う、うん」  確かにやってみたかったけど、絶対断ると思って冗談で言ったのに。なんだか申し訳ない。 「でも、正和さん大丈夫なの?」 「……大丈夫なわけないでしょ」  抱きしめる手にぎゅううっと力が込められて少し苦しい。彼の膝から下りようと彼の腕を解けば、首筋をがぶがぶ甘噛みされてしまって、再び腕の中に閉じ込められる。 「ひゃっ……かまない、で」 「──まあ、でも純の喜ぶ顔が見れるなら悪くないかな」 「そんなこと言って、見てる余裕もないんじゃ──はう、ちょっと! どこ舐めてんの」  項をべろりと舐められて、ぞわぞわっと肌が粟立(あわだ)つ。背を仰け反らせてそのまま後ろを振り返れば彼はニタリと笑った。 「生意気」 「だって、ほんとのことじゃん」 「はいはい、どうせそんな余裕もなくて、カッコ悪いですよー」 「別に、そうは言ってないし。…………正和さんはかっこいいよ」  すごく。本当はとても苦手なことなのに、俺に合わせて一緒にやってくれるところは凄く男前だと思うし、少し憧れる。 「ふーん」 「正和さん?」  彼の膝の上で体をくるりと反転させられる。そのまま彼の顔が近づいてくると、額がコツンと合わさって、なんだか恥ずかしい。 「その代わり、俺とずっと一緒にいてよ」 「ずっとって……?」 「ずっとは、ずっとだよ。純が大人になっても、俺がおじいさんになっても、ずっと」 「……当たり前じゃん」  ちょっとしたワガママの代償としては大きい気がするが、最初からそのつもりでいる俺にはあってないようなお願いだった。 「約束だよ」 「うん──あ、電話」  昼間と同じように、部屋に備え付けの電話が鳴り響く。今日はこのあと髪を切ってもらう予定だったから、きっとその人が来たのだろう。

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