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いじわる彼氏とハネムーン 465

「だって正和さんいつも凄い意地悪じゃん」 「物足りなかった? もっとする?」 「ばっ……するわけないじゃん!」 「あ、いまバカって言おうとしたね」 「っ……言ってはないじゃん! セーフだよ、セーフ」 「ふーん」  ゆっくり体を起こしてパンツを穿けば、正和さんはティッシュを丸めて立ち上がる。それを捨てにゴミ箱まで行って戻ってくると、無言で顔を近づけてきた。  とっても意地悪な目をしていて、ドキリと心臓が跳ねる。その目でジーッと見つめられたら、胸がドキドキしてきて、背中にじわりと冷や汗をかいた。 「な、なに」 「まあ、明日は結婚式だし、俺だって凄く楽しみにしてるからね」 「え……うん」 「花嫁さんが腰立たなかったら困るから、優しくしないと」 「っ……花嫁じゃなくて花婿だし」  ニヤリと笑って言った彼の言葉に羞恥心を煽られて、カアアと顔が熱くなる。それを誤魔化すように指摘をすれば、彼は目をスーッと細めて楽しそうに笑った。 「十七才の花嫁って、なーんか言葉の響きいいよね」  俺の話聞いてないし。いや、聞いててあえてのスルー? 「どこが?」  完全に俺の言葉を流した正和さんに、少しツンとして返せば、彼は首を傾げて聞いてくる。 「純はそう思わない?」 「全然」 「えー、凄く魅力的なのに」  若くて純粋で可愛い感じがするとか、なんとか言っていたけれど、その言葉だけじゃ純粋とか可愛いかなんてわからないのに正和さんもアホだ。 「──シャワーどうする? このまま少し休んでご飯にする?」 「夕飯どうするの?」 「ホテル内のレストランでいいんじゃない? 何か食べたいのある?」 「それなら、下の和食屋さん美味しそうだった」 「じゃあそこにしよう。ついでにツアーの予約もしてきちゃおっか」 「うん」  仕事も学校もなく二人きりの日というのはあまりないから、目一杯楽しみたい。  正直、明日の結婚式は楽しみな気持ちより緊張の方が大きいけれど、形だけでも結婚できるんだと思うととても嬉しくて、胸がじんわり温かくなった。  

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