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いじわる彼氏とハネムーン 476
正和さんの昔のことをもう少し詳しく聞きたかったけど、降りるよう促されて外に出た。さり気なく彼の手に触れれば、正和さんは手を握り返してくれる。
普段なら自分からは絶対しないけど、なんだか今日は彼の近くにいたい気分だった。それに、ここには知り合いもいないから、これくらいはいいかなって思う。
「珍しいね」
正和さんは楽しそうにクスクス笑い、俺の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれる。
景色を見て写真を撮ったり、ガイドさんに撮ってもらったりしたあとは再び車で移動した。
昨日撮影したビーチの隣のビーチに着くと、正和さんの言ったとおり、こちらは人がいっぱいで賑わっていた。
砂浜の一角には白い机と椅子が置いてあり、そこで首にかけるレイ作りをするらしい。水揚げされたデンファレの花がとても綺麗でなんだかワクワクしてくる。
「────できた」
「早っ……って何?」
「純にあげる」
正和さんが作ったレイを頭に乗せられてしまって体が固まる。動いたら落ちてしまいそうで、レイ作りどころではない。
「……じゃあ、首にかけてよ」
「この方が可愛いよ」
「落ちる。早く」
「はいはい」
正和さんが作ってくれたのと違い、不格好になってしまったレイは彼の首にかけてあげた。けれど、交換をしてるのは自分たちだけだったから、なんだか凄く恥ずかしかった。
暑かったので車に乗る前にアイスクリームとジュースを買って、車内に持ち込んだ。食前ということでアイスは正和さんと二人で分けて食べることにする。
お昼はビュッフェ形式で、お肉がとてもおいしかった。ついつい食べ過ぎてしまい、お腹はぱんぱんに膨れ上がって少しだけ服がきつかった。
昼食後はパイナップル畑をみたり、海ガメのお昼寝姿を見たり、大きな木のある公園にも行った。
途中で案内されたお土産屋さんでは、味見させてもらったパイン飴が美味しくて、正和さんにたくさん買ってもらった。
あとは彼がイルカのストラップをお揃いで選んでくれていて、彼は早速携帯につけていた。俺は筆箱につけようと思ったけど、正和さんが勝手に俺のスマホにもつけてしまったので、そのままにしておいた。
なんだかんだであっという間に時間は過ぎて、ホテルの前に降ろされる。楽しみにしていた島内一周ツアーが終わると、寝不足もあって急激に体が重たくなった。
「楽しかった?」
「うん! あんなにたくさん回れるとは思わなかった」
「ふふ、それは良かった。部屋行ったら少し休んでいい?」
その問いにコクリと頷く。
疲れていたのは正和さんも同じだったようで、夕飯までの一時間、二人でベッドに横になってゆっくり過ごした。
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