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いじわる彼氏とハネムーン 484

 ノックの後、カララッと音を立ててガラス戸が開きワゴンが運ばれる。どくん、どくん、とうるさいくらいに鳴り響く心臓の音が他の人に聞こえるはずはないけれど、タオルの中で縮こまって俯いた。  スタッフは正和さんと少し話したあと、すぐに出て行ったが、その間えっちな水着を着ていることがバレるんじゃないかと気が気じゃない。  静かに閉められた扉を見つめたまま、ふう、と口から安堵の息を漏らす。 「──さて。どうしてほしい?」  だが、意地悪げな顔でそういった正和さんは楽しそうに俺の腰を引き寄せる。 「べつに、なにも……」 「ふーん。放置プレイでいいの?」 「はぁ? 違っ、ばっ……っ」  ばかじゃないの、と喉元まででかかった言葉は、先ほどの「約束」を思い出して口の中に消えた。 「……ば?」  だが、何を言おうとしていたかなんてお見通しのようで、彼はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべてわざとらしく聞き返してくる。 「なんでも、ない」 「──ああ、わかった。バックでしたい?」  彼は考える素振りをしたあと、閃いたように目を見開きそう言った。  予想外の彼の言葉にカアアッと顔が熱くなる。違う、そうではない、と反論したいが、さらに墓穴を掘ることなりそうで、できなかった。「ば」で始まる言葉を考えても、彼のようにすぐには浮かばない。 「そっかそっか。やらしいなあ、純は」 「~~~っ」  煽るように言われて、言い返しそうになるけれど、ぐっと堪えて唇を噛む。こういうのは放っておくのが一番だ。そう思ってやり過ごそうとするのに、そう簡単に話を終わらせる気はないようだ。 「でも、ちゃんと言わなきゃダメだよ」 「……なにを」 「んー、だから、バックでしてください♡って」  そう言いながら水着を引っ張って、先ほど射精させてもらえなかったそこを露わにさせる。彼は、勃ったままだったそこを逆手で握ると、意地悪げに笑ってやんわりと扱き始めた。 「っ……ぁ」 「ほら、イキたいでしょ?」  思わせぶりにカリ首をなぞって、反対の手で先端をくちゅくちゅ捏ね回す。焦らすような手つきに腰がびくびく震えて、思わず彼の肩を掴めば、ビーチベッドがギッと音を立てた。

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