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いじわる彼氏とハネムーン 486
「可愛い」
何も考えられなくて、顔を上げた正和さんの唇に自分のそれを重ねる。舌を搦めて強請るように何度も吸えば、彼も同じようにキスしてくれた。
今まで適当だった胸への愛撫にも熱がこもる。強弱をつけて指先で撫でたり、クニクニと擦るように押し潰されて堪らず切ない声があがる。
だが、決定的な刺激からは程遠いその愛撫は、じんじんと疼きが増すばかりだ。
「あぁあっ、いき、たいっ…やだっ、いっしょ、に…まさかず、さんっ」
「っ──ほんっとに……。おねだり上手になってきたよね」
呆れたような、あるいは感心したような、なんとも言えない声音でそう言うと、ビーチベッドの上で体を押し倒してくる。
「でも言ったでしょ、お仕置きって」
彼はスーッと細めた目でこちらを見ると、胸の尖端をきゅうっと摘まんだ。彼の眼差しに背筋がぞくっと震え、甘い痺れが全身に広がる。
──だけど、最近気づいたことがある。
彼が目を細めた時は大抵、何かを堪えている時か、考えごとをしている時だ。今のは前者で、お仕置きしている彼もまたつらいのだろう。
彼の大きく膨らんだものは水着越しにくっきりと浮かび上がっており、とてもきつそうだ。
「っは、あ、正和さんも、したい、くせにっ」
思わず悪態をつけば、彼の視線はますます鋭くなって、たちまち意地悪な顔になった。ニヤリとも笑わず、本気で虐める気でいるその表情に、手足からサァーっと体温が遠退く。
「生意気。そんなこと言ってるとイかせてあげないからね」
「ひ、あぁあ、やだっ、ごめ、ごめんなさいぃ」
乳首を捏ね回していた手で痛いくらいにぎゅうっと摘ままれて、泣きながら許しを請う。そうすれば、少しだけ彼の表情が和らいだ。
「……なら、どうして欲しいか言ってごらん」
「ちくび、ちくびで、いかせてくださっ、あぁっあ、ぁーっ」
「どうやって?」
「わ、かんな…いっぱいきもちく、して…っ」
「だーめ。どうして欲しいのかちゃんと教えてくれなきゃ、このままだよ」
彼は低く掠れた声で囁くと耳朶を甘噛みしてくる。胸への愛撫はぴたりと止み、耳の中に舌が這入ってきた。
敏感なそこを舌でねぶられたら堪らない。ダイレクトに響く淫猥な音に煽られて、下腹部がずくずくと疼く。吐息はますます熱くなり、瞳にじわりと涙が浮かんだ。
彼によって変えられてしまったそこは、今じゃすっかり発情スイッチとなっている。それが悔しくて、恥ずかしくて、震える手で必死に耳を覆い隠した。
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