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~甘い誘惑~ 10

「っ……放置プレイなんて好きじゃないし、俺はMじゃない!!」 「ふふ、照れてるの? 可愛いなぁ」 「照れてないっ!!」  声を荒げて否定すれば、彼は目をスーッと細めて、俺の頬を愛おしげに撫でる。その仕草が少し気持ち悪くて、肌が粟立(あわだ)った。 「心配しなくても大丈夫だよ。SMクラブの経営してて以前はそれなりに客の相手もしてたから、知識やテクニックもあるし」 「SMクラブ……テクニック……」 (いやいや、それ大丈夫って言わない) 「今度連れて行ってあげるよ」  そう言いながら、スカートの中にするりと手を忍ばせて、俺のペニスを下着越しに弄り始めた。普段人に触られる事がないその場所は敏感で、少し触られただけでも狼狽える。 「ひゃ……やめ……んっ」 「少し触っただけでそんな声出して。それにこんな服なんて着ちゃって、やらしいなぁ、純は」 (いやいや、突然触られたらびっくりして声出るし、好きでこんな服着てないからな。お前が着せたのに俺が自分で着たみたいな言い方やめて) 「んー、拘束してると脱がせづらいなー」  そんな事を呟きポケットから小型ナイフを取り出した。刃物の光に恐怖で身体がびくりと揺れて身動きできなくなる。 (そんなもの持ち歩いてんのかよ)  ナイフでメイド服の襟元からスカートまで、見せつけるようにゆっくり切っていく。丁寧なその動作は却って緊張感を煽られ、一層恐怖も増した。  (あら)わになった俺の肌を舐めるように見て、腹部をそっと手のひらで撫でる。 「っ……」 「肌白くてすべすべだね」  そう言いながら下着も切り裂いて、味わうように太ももをねっとり撫でた。そこにナイフの平たい部分を当てられて、ゾクリと全身から血の気が引く。 「ぁ、ぁ……」  金属の冷たい感触に戦慄(せんりつ)して、小さな声を漏らした。震えたまま動けないでいると、彼はナイフを肌の上で滑らせて、楽しそうにニヤリと笑う。 「そうそう、その顔。可愛いなあ……怖い?」  怖くて答える事もできずにいると、ナイフが肌から離される。彼は刃先をしまった後、それを布でくるんでサイドテーブルの引き出しにしまって鍵をかけた。彼は、ドキドキしながら見ていた俺の頭を、優しく撫でて額にキスを落とす。 「本気で怒らせなければ酷いことはしないから怖がらないで」 (それって裏を返せば、ガチギレしたらどんな酷い事されるかわからないって事だよな?)  そんな事を考えていたら、いつの間に持っていたのか彼の手には小さなピンク色の器具があった。 「なに……する気? それ、何?」 「え、これ知らないの?」  きょとん、と目を見開いて聞いてくる彼に素直に頷くと、彼はニヤリと笑った。   

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