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~甘い誘惑~ 11
「高校生にもなれば、これぐらい知ってると思ったけど……純は名前の通り凄く純粋なんだね」
そう言ってピンク色の器具をベッドに置いて、言葉を続ける。
「まぁ、その方が好都合だけど」
(どうしよう。これから何する気なんだろう。怖い……すごく怖い)
今までの会話と今のこの格好から性的な行為をするのだろうという事はわかる。だが、男同士でなんて想像もつかないし、これから何が始まるのか怖くてたまらない。
彼は涙目になっている俺の目元にキスを落とし、チュッ、チュッ、と、徐々に首筋を伝って下りていく。
「やめ……やだ、触んな……」
「うーん、まずは純の言葉遣いからだね。さっきは『お前』とか言ってたし、お仕置きが必要かなあ」
ニコニコ笑ってそう言いながら、何かを考えている様子の彼が怖くて身震いする。
(何で、そんな楽しそうに言うんだよっ! ……いや、楽しんでるのかこいつは)
「泣いたって無駄だからね」
「っ……これ外せよっ」
焦って手をバタバタさせれば、ガチャガチャと鎖の音が響いて、それを見た彼がクスリと笑う。
「やだね。外したら逃げるでしょ?」
「あたり前だ!」
「はい、はい。良い子にしててね」
俺の頭を撫でながらそう言うと、少し間を置いてから意味深長に微笑んで言葉を続ける。
「大人しくしてれば酷いことはしないよ」
その言葉は、先ほど刃物を見せられた俺を黙らせるには十分だった。
「ふふ、可愛い」
「や、やだ……っ」
恐怖が込み上げるのを抑えるのは無理だ。悪態ばかりついているが、本当は臆病で怖がりで、今も怖くて指先の震えが止まらない。
「ひっ、うぅ……っ」
「泣かないで。まだ始まったばかりだよ」
彼は宥めるようにそう言うが、俺の瞳からは涙がボロボロ零れ落ちる。怖くて怖くて、これから起こる事に耐えられる自信がない。
「これ、外して……逃げないから、外して」
「だーめ」
「っ……本当に優しく、してくれるの?」
泣いているせいで声が少し椋れてしまったが、思わずもらしたそんな言葉に、彼は一瞬、ひどく驚いた顔をする。
この際、逃げる事はほぼ不可能だと思うから、覚悟を決めて優しくしてくれるのかだけ確認したかったのだ。
それなのに、彼は俺の頬にキスを落とすと、意地悪げな笑みを浮かべる。
「ふふ、たくさん苛めてあげる」
その言葉に怖くなってまた逃げようとするが、彼の腕に抑え込まれて、それは叶わなかった。
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