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~甘い誘惑~ 12

「さっき、初夜は優しくって言った……!」 「純が反抗的な態度とるから、気が()がれちゃった」 「そん、な……」  心臓がバクバクして、涙がじわりと浮かんでは、零れ落ち、また浮かぶ。ぽろぽろと溢れた涙は、こめかみを伝って髪を濡らし、シーツにシミを作った。  彼はクスッと笑って、俺の胸を撫で回していた手を止め、目尻に啄むようなキスを落とす。 「可愛いね。……じゃあ、俺にキスして。純からしてくれるなら優しくしてあげてもいいよ」 (俺から……キス?)  躊躇ったが、それで優しくしてもらえるなら……と、少し起き上がって、彼の頬に軽く触れるだけのキスをした。恥ずかしくて、頬と耳がカァーっと熱くなり、彼から顔を逸らす。 「え、口にはしてくれないの?」 「口にしろなんて……言われてないし……」 「……まぁいいか」  彼は諦めたように笑ってそう言うと、胸の飾りを弄り始めた。片方を指で挟まれ、クリクリと転がされ、もう片方の突起は、舌先でチロチロと舐められて、時折ヂウっと吸われる。  そうされると気持ち良いような、くすぐったいような、不思議な感じがして、口からは甘い吐息が零れた。 「陥没気味のこの乳首がさ、触るとぷっくりしてくるの凄いやらしい」 「っ……ふ、ぁ……ヤ、嫌だっ」 「嫌? 嘘はいけないなぁ」 「うそなんて、ついてな……はぁ、ん」 「そっか。こっちも相手して欲しいんだね」  そう言いながら、彼は尻尾を口に含んだ。毛が生えているのを気にする事もなく、舌でねっとりと包むように舐めた後、舌先でなぞったり突ついたりする。 「あぅ、……あっぁ、んんっ、んーっ!」 「やっぱ、尻尾は感度いいんだ」  尻尾を口に含んだままそう言って、カプッと甘噛みしてくる。まるで、そこから背筋を伝って小さな電流が這い上がるような、ビリリとした感覚に襲われて、早くも達してしまった。 「あぁあん! ぁ、ぅ、はぁ……っ」  まさか尻尾を甘噛みされただけで、イクなんて。男として……人間としてどうなのだろう、とも思うが、最近忙しくて溜まっていたから、仕方ない。 「純……イっていいなんて、言ってないと思うんだけど」  彼の声が急に冷ややかなものへと変わったので、俺は身を竦める。 「だ、だって」 「へえ、反抗するんだ?」 「っ……」

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