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第19話
「何も考えて無いってば」
「そう……。言えないなら、言えるようにするしかないね」
ニコリと笑って軽い口調で言うが、どこか威圧的で、その表情に恐怖を抱いて後ずさる。しかし、短い鎖はすぐに突っ張って、それ以上後ろへは進めなかった。
彼は毛布の隙間から手を忍ばせて、腰をぐいっと引き寄せ、そのまま膝の上に乗せてしまう。後ろから回された手は下方へと伸びて行き、まだ元気のない俺の中心を握った。
幸い、首以外は拘束されていなかったので、逃れようと必死に彼を押しのける。だが、彼の力は強くて、どんなに強く押してもビクともしない。
そんな風に一人で暴れる俺を見て、フッと笑った後、俺の男根を扱き始める。
「ちょ、やめ……離し――」
「ほら、何考えたのか言ってごらん」
「や、……なんも、かんが、てない……っ」
そう答えると扱く手にさらに熱がこもり、もう片方の手で胸への愛撫が始まった。感じる所を刺激しては、ゆっくりと焦らすように弄ぶ。
それを繰り返されるうちに、下腹部に溜まった熱を放ちたくてたまらない衝動に駆られ、唇をぎゅっと噛むが、それ以上の刺激を与えてはくれない。もどかしさに身を捩ると、彼は問いを重ねてくる。
「考えてたこと教えて?」
「だから、なにも……」
「言うまでイかせないからね」
そう言って、昨夜のように根元を押さえると、さらに際どいところまで追い上げてくる。
「ん、ン、あぁ……も、はぁ……っ」
「ほら、イキたいんでしょ? 言ってごらん」
悪魔のような囁きに身を竦めた。優しく言いながら、追い詰めるような手つきで責めてきて、全身がぞくんと痺れる。
それでも頑なに答えない俺に、追い打ちをかけるように恐ろしいことを言った。
「今言わないなら、ここ縛って朝までしようか」
「ひっ、ヤ……やだ、あ、ぁ」
昨日なかなかイかせてもらえなかった事を思い出して涙目になっていると、今度は優しく聞いてくる。
「じゃあ教えて?」
「っ……」
「……そう。わかった」
痺れを切らした彼は、革製の小さなベルトを取り出して、俺のそこにつけようとする。それを見た瞬間、怖くなって慌てて口を開けば、彼の手が止まった。
「薬がないと、戻らないんじゃ……逃げられないと思って……」
「……うん、それで?」
先を促す言葉に、意を決して続ける。
「……でもそれを、見つければ……逃げられるかな、って」
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