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第21話

 目が覚めると俺はベットに寝かされていた。横を見るとベットに腰掛けた彼が俺の顔を覗き込んでいる。 「気分はどう?」 「……最悪」 「あ、そう。……ところで、純はイクたびに気絶しちゃうの?」  唐突な質問に全身の体温が上昇するのを感じる。 「っ、うるさいな! いつもは、こんなんじゃ……」  言葉通りいつもは本当に失神なんてしない。というか、今まで一度もしたことがない。もちろん、健全な男子高生だから、自慰くらい並みにはしていたが、失神したのは彼にされたので初めてだ。 (しかも、二回もなんて……。おまけにイくのも早い気がする) 「ふーん、いつもは気絶しないんだ……俺にされるのが良すぎたのかな」 「なっ……気持ち悪かったの間違いだろ!!」  俺の返す言葉に彼は一瞬顔を歪めるが、すぐにニコニコ笑って俺の頭をポンポンと撫でた。 「照れないの。さて、ご飯にしようか。純は餌ね」  素早い返しに文句も言えないまま、彼は部屋を出て行ってしまい、鎖に繋がれた俺は気分の悪いまま部屋に残された。  わざわざ「ご飯」から「餌」に言い直すところに物凄く腹が立つが、そうなったのは自分のせいなのだから仕方がない。  しばらくして彼がお盆を手に戻ってくると、部屋には美味しそうな匂いが充満してお腹が減ってくる。その料理をお洒落なテーブルセットに並べるが、俺の分はもちろんキャットフードと水のみで、床の上に置かれた。 「いただきます」  彼が椅子に座ってご飯を食べ始めたので、俺も仕方なく食べることにした。カリカリと音をたてながら、お世辞にも美味しいとは言えないそれを飲み込む。 (なにしてんだろ、おれ……)  全裸で首輪をつけられて、床に置かれた猫用の餌を四つん這いで頬張る姿は本当に無様だ。 「純」  皿に顔を近づけて食べていると、不意に呼びかけられて、上を向く。 「いただきますは?」 「――――」  いつもなら素直に返事をするのだが、相手がこの男だと何故か反抗してしまう。無言で再び下を向いてチロチロと水を飲んだ。しかし、そんな俺のことは物ともせず、彼は楽しそうにクスクス笑う。 「……お仕置きされたい? ローターの次はバイブかなぁ」  厭らしく口元を歪めてそう言った彼をキッと強く睨み付けて、投げやりに挨拶する。 「いただきます!」 「ふふ、召し上がれ」  キャットフードは勢いよく口に詰め込んだので、すぐに食べ終わった。水も全て飲み干し、まだ食べ終わってない彼の方をチラッと見る。  部屋には美味しそうな匂いが漂っているのに、固くて美味しくない物を食べさせられて満腹感など全くない。彼の食事の中に好物を見つけて、唇をぎゅっと噛んだ。 (いいな……俺も食べたい)

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