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第25話

「入れてほしい?」 「あぁっ……いや、だ……」 「まだ意地を張ってるの?」 「だっ、て……」  昨日の痛みを思い出して、体が少しだけ震える。逃げるように顔を逸らせば、彼は一段と優しい声音で言った。 「大丈夫。慣らしたから痛くないよ」  何度も「大丈夫」と繰り返して、安心させるように優しく触れる。昨日とは違って、彼が優しいせいだろうか、今は彼に抱かれる事にはほとんど抵抗がない。 (イき、たい。もっと気持ちよくなりたい)  抱きつこうと、彼の背中へ腕を回す。だが、手が縛られていたので、僅かに身じろいだだけだった。その様子を見た彼が嬉しそうに笑って、腕の(いまし)めを解いてくれる。  自由になった手を彼の背中にまわすと、堪えきれなくなったのか低く掠れた声で囁いた。 「入れてもいい?」  そう言った彼の中心部は服の上からでもわかるほど形を変えていて、興奮を押し殺しているのがわかる。その問いにコクリと頷くと、彼はズボンと下着を下ろして、熱く猛ったものを蕾にぴとりと押し当てた。 「大丈夫だよ、力抜いて」  彼がゆっくり中に入ってきて、俺は背中にぎゅっとしがみつく。体がまだ強張っているのを感じたのか、彼は俺の頬を撫でて優しく声をかけた。 「大きく息を吐いて」  その言葉通りに息を大きく吐いて深呼吸を繰り返せば、徐々に体の力が抜けて、彼のものを奥深くまで咥え込む。多少の痛みはあったが、散々焦らされた体はそれさえ快感だと認識して、小さく喘いだ。  ゆっくりと律動し始めると、気持ちよくてたまらない。もっと、と強請るように彼の腰の動きに合わせて体を揺らす。 「あっぁ、はぁん…っ、あっあぁ」  回すように大きく突いたり、イイ所を抉るように突かれれば、体がぞくぞくっと震えて、彼の背を引っ掻く。  ギリギリまで引き抜いて、また最奥まで入ってきて。その繰り返しに狂いそうな程、快楽の波が押し寄せて、籠っていく熱を放ちたいという衝動に駆られ、足をピンッと突っ張る。 「あっあぁん……も、だめ……あぁ、ぃく、あぁああん」  律動の速度が増し、あっという間に追い上げられて、自分と彼の腹部に精を放っていた。その直後、彼のものがピクピクと痙攣したように震えて、熱いものが身体の奥に打ち付けられる。  クタッとベッドに身を預け、余韻に陶酔していると、思考が遠ざかってくる。男根が引き抜かれ、後処理している彼を見てたら、だんだん眠くなってきて、そのまま意識を手放した。

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