46 / 494
第46話
だが、今やりたかったのはメールの確認ではなく調べ物だ。俺は早速、ネットの検索画面を開いて『男性 誘い方』と入力する。すると『男性 誘い方 夜』と言う候補が出てきたのでそれで検索してみた。
検索結果に軽く目を通すと、キスをする、上目遣いで、耳元で、ストレートに、恥ずかしそうにもじもじと、などたくさんの方法が出てきた。色々あるんだなあ、なんて変に感心しながらどのやり方にしようか考える。
あまり恥ずかしい感じの大胆なやつはやりたくない。しかし、難易度の低いやつで正和さんがすんなり受け入れてくれるとも思えなかった。
そんなことを考えながらネットを見てるうちに一時間が過ぎ、あと三十分もすれば彼の仕事が終わる時間になってしまう。
「はあ……どうしよう」
知識は得たが、結局どの方法にするか決まらないまま彼の部屋の前にいる。
二十時十二分。ちょうど十分前に来たが、躊躇ってノックできずにいた。
「いつまでもそこにいないで、そろそろ入ってきたら?」
「っ!!」
最初から気づいていたことを知らせる声に驚き、恐る恐る扉に手をかける。
「遅かったね」
「……ごめん、なさい」
彼はクスッと笑って机の前の椅子から立ち上がると、ソファに移動し手招きする。
「別に怒ってないよ。俺も今終わったとこ」
正和さんの前まで行くと、隣に座るよう促されたので左側に座った。すると肩を組むように後ろに手を回されて、耳元の髪を指先で撫でられる。
「何してたの?」
「え、と……調べ物を」
「ふーん。調べ終わった?」
「い、一応」
優しい口調で楽しそうに聞いてくるから調子が狂う。
ここからどう誘ったら良いのだろう。
(とりあえずボディタッチ、とか……?)
正和さんの太ももにそっと右手を置いてみる。すると、彼も右手を重ねてきて。心臓がドクンと高鳴った。落ち着こうと思っても鼓動がトクトクと速度を増していく。
この後、どうしたら良いんだろう。なんだかとても緊張する。
「……正和さん」
「なに?」
いつもの彼からは想像がつかないくらい優しい眼差しで、優しい声音で聞いてくる。
「ぁ……えっと、その」
正和さんの太ももに置いた手が汗ばみ始めた。手汗が出るほど緊張する内容でもないのだが、無駄な知識を詰め込み過ぎたせいで頭の中がぐるぐるする。
(ああっ、もう!)
自棄になって、彼の唇に自分のそれを重ねる。横を向いて腰を浮かせた体勢は少し辛いので、彼の首に手を回す。唇を離す時に正和さんの下唇をペロッと舐めたら、彼は少し驚いたような顔をしていた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!