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第78話
(……正和さんが、怖いです)
学校を出ると車に乗せられた。それはゆっくり動き出して、今朝来た道を戻る。
「ねえ、純。なんで俺以外のやつに触られて感じてんの?」
「だって……正和さんが」
「俺が何?」
「っ……縛ったり、変なこと……するから」
運転している正和さんはこちらをチラッと見ると、再び前を向いて目を細めた。
「へえ。そう言う事されてたら、俺じゃなくても良いんだ?」
信号で車が止まり、彼がこちらを向くと、目を合わせづらくて自然と俯いてしまう。
「そう言うわけじゃ……」
「気持ち良ければ誰でも良いんでしょ?」
「違っ、正和さんじゃなきゃ……ぁっ」
言い訳するように呟くと突然玩具が動き出して、口からは小さな喘ぎが漏れる。顔を見上げると、口角をニヤリと上げて俺にキスをした。
「ふーん? ……本当に俺が良いなら、俺の機嫌が直るまで、耐えられるよね?」
そう言って試すようなことを言う彼に、答えることができない。口を開けば喘ぎ声が零れてしまって、それを抑えるように唇を噛んだ。
家に着くと抱きかかえられて、正和さんの部屋に連れて行かれた。服を全て脱がされて、縛られた艶めかしい肌が露わになる。
「薬がきれてきて物足りないでしょう?」
正和の言う通り薬の効果が薄れてきたのか、先程よりは体が楽だ。
「注射、どこに打って欲しい?」
「い、いや……」
「手と胸と足、どこにする? 可愛らしいここでも良いよ」
そう言って俺の硬くなっている中心部を指先で弾く。
「や、やだ……正和さん、許し――」
「選ばないなら俺が決めちゃうよ」
そう言って机の引き出しから、朝見せられた注射器を取り出す。このままだと、きっととんでもない所に打たれる。そう思って泣きそうになりながら叫ぶように言った。
「手! 手が良いです!」
「手かぁ……残念。でも手って言っても、こことか結構痛いんだよね」
そう言って俺の手の平をそっと撫でる。皮膚が薄いからか敏感にその刺激を感じ取り、張り詰めた中心部には更に熱が溜まる。
彼は、アルコールのにおいがする湿ったコットンで、そこを優しく拭い、注射器のキャップを外した。
注射針をそっと当てられれば、怖くて思わず手を引いてしまう。
「あ、こら」
正和さんの左手が俺の手の甲をがっしり掴む。
「俺は手じゃなくても良いんだからね?」
「っ……」
目を細めて抵抗するのを楽しみにしている彼に逆らうほど俺も馬鹿ではない。再び針が当てられて息をのむ。
「刺す時はゆっくり、注入は一気にすると痛みも増すんだよ」
楽しそうにニコニコして、そんな事を言う正和に背筋がゾクリとする。
(こんな医者絶対やだ……)
「いっ……」
針がツプッとゆっくり刺さる。少しずつ手の平に潜っていく針が怖くて、俺はそこから目をそらした。
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