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第81話 (正和視点)

 先程まで俺の名を呼んで泣いていた、可愛らしい純の声が聞こえなくなった。 「止めちゃったかな」  書類に記入していた手を区切りの良い所で止めてペンを置く。時計を見るとリモコンを渡してから既に一時間が経っていた。止めてしまっても無理はない。  あの強い媚薬を使って、玩具で責め立てられて。むしろ、こんなに長い時間よく耐えたものだと感心する。  それに、俺もそんなに怒っていたわけではない。学校に行ったり、友達と勝手に約束したりする純に少し不安になって、イラついただけだ。  純の事はたまに訪れる学校で何度も見かけていて、家について行ったりした事もあった。だが、純からすれば初対面で監禁されて、無理やり色々な事をされたのだ。  外に出て他の人と関わりを持てばやっぱり嫌だと俺から離れようとするかもしれない。だから俺の事だけ考えてれば良いと思った。  けれど、友達に触られて気持ちよさそうにしている姿を見たら、あんなことをして学校へ行かせたのを激しく後悔した。それで居ても立っても居られなくて連れ帰ってきてしまったのだ。  我ながら余裕がないなとは思う。でも車内で純の顔を見たら、怒っている俺に怯えて不安な顔をしてるのに、俺のこと大好きなのが全面に出ていて可愛かった。  あんな顔をされたら誰だってスイッチが入ってしまうだろう。可愛い純の泣き顔はたまらなく興奮する。  止めた事に対しては何と言おうか。きっと少し言っただけで、お仕置きされると思って怯えてしまうだろう。する気なんて全くないけど、お仕置きって言ったら泣き出しちゃうかな。 「可愛いなあ」  どうやって泣かせようか考えながら部屋の前まで来ると、異様に静かな事に気づく。  不思議に思って扉を開けると、純はぐったりして完全に縄へ体を預けていた。 「純?」  呼び掛けても反応はなく、近くまで行くと玩具の振動音が聞こえる。てっきり止めたものだと思っていたが、どうやら失神したらしい。  振動する玩具のせいか、体はビクビクと跳ねている。  握り締めているリモコンのスイッチを切ってやり、括り付けていた縄を解いて抱きかかえる。 「はぁ……可愛すぎてどうしたら良いのかな」  気絶するまで、となるときっと苦しくて苦しくて意識も朦朧として普通なら止めてしまうだろう。純にはまだ調教だってしていないし、止めたら嫌だと言っただけで、駄目だと強く言ったわけではない。  健気な姿にいっそう愛おしくなる。  腕や体を縛っている縄もそっと解いてやり、後孔からバイブを抜く。赤く腫れた中心部から伸縮性のあるリングをとってやると白濁液がタラーッと零れた。   汗で額や頬に張り付いた髪をすいてやる。 「……ごめんね。優しくするから許してね」  純の額にそっとキスを落とすと、幸せそうにふにゃりと笑った。 「っ……」  本当、可愛すぎてどうしよう。

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