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第94話
「あっ、はぁ……まさかず、さっ」
「息吐いて」
言われた通り深く息を吐くと力が抜けて少し楽になった。遠慮なく腰を押し進めてくる正和さんの腕を掴んで痛みに耐える。
瞳からは涙がポロポロ零れ、正和さんはそれを唇で優しく拭った。
「……全部入ったよ」
額にキスされて、頬を優しく撫でられる。
「正和さん……っ」
「ごめんね。意地悪したい訳じゃないんだけど……余裕がないみたい」
そう言って冗談めかして笑うが、その顔はいつものような澄ました顔ではなく、本当に余裕がないように見える。
「はぁ、ん……あぁっ」
正和さんは俺の腰を掴むとゆっくり抽挿を始めて、何度かその行為を繰り返すと、貪るようにガツガツ突いた。深い所まで正和さんの男根で突き上げられて、甲高い声を上げながら彼の背中に腕を回す。
「っ……純」
「あっぁ、あぁん……っ、まさかず、さっ……ああう」
いつもより激しい腰の動きについていけなくて、彼にぎゅっとしがみついた。自分の声も気にならないくらい気持ち良くて、頭の中がチカチカする。
もっとイイ所を刺激して欲しくて腰を捩ると、正和さんが間の抜けた声をもらした。
「あ……」
「え?」
俺が聞き返したと同時に、正和さんの屹立していたものがドクンと脈打ち、俺のお腹は熱いもので満たされる。
(…………これは……イったのか?)
「……ごめん」
珍しく顔を赤く染めている正和さんはぼそりと呟くように言った。
「顔見たら可愛過ぎて、イっちゃった」
(はや……)
俺はまだイっていないのに、どうしたら良いのだろう。一番良い時に果ててしまうなんてあんまりだ。
「……ちゃんとシてあげるからそんな顔しないで」
そう言った正和さんは、一度出してスッキリしたのか、いつものようにニヤニヤと意地の悪い顔をしている。
そして俺の中に入っているものが再び大きくなって硬さを取り戻した。
「どうされたい?」
頭は少し冷静になり始めていたから、急に恥ずかしくなってくる。それでも火照った体は早く快感が欲しくて、後ろはヒクヒク収縮しながら正和さんを煽った。
「つづき、して……」
頬を紅潮させて消え入りそうな声で言えば、正和さんはクスッと笑って、ゆっくり腰を動かし始めた。
「はぁ、あ……っ」
「純、後ろでイってよ」
「あっ……そ、なの、むり……や、あぁん……っ」
首をふるふると横に振って涙目で訴えると、先程とは違って浅い所で前立腺を抉るように何度も何度も刺激してくる。電気が全身を駆け巡るような、ビリリとした快感に背を仰け反らせ、脚をピンッと突っ張らせた。
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