95 / 494

第95話

「や、あっぁ、ん……だめ、だめ」 「ダメじゃなくて『イイ』でしょ?」 「はぁ、あっ……い、い……イイ、からっ、触って」 「前触らなくてもイけるよね?」  後ろだけでイくよう求めてくる正和さんに、首をゆるゆると軽く振って目で訴える。薬も使わず素面の状態なのに、そんなの無理だ。 「このまま俺のでイって欲しいな」  そんな風にお願いするように言われてしまったら、これ以上言う事はできなかった。  正和さんのものが抜けそうになると、中は強請るように厭らしく絡み付く。精液が入ったままのせいか、抽挿を繰り返す度にグチュグチュと恥ずかしい音が響いた。 「や、あっあぁん、はぁ……っ、まさかず、さん」 「可愛い」  正和さんが俺の頭の上に手を伸ばすから、繋がりが深くなる。何をするのかと思ったら、先程脱がされたジャケットを拾って俺のお腹に乗せた。腰を動かしながら器用に畳み、細長く折ったそれで俺の目元を覆う。 「あっ、ゃ、何す……っ」  突然遮られた視界に驚いていると、それを頭の後ろへ回されて斜め後ろで結ばれた。 「見えないと感覚が鋭くなるでしょ? 例えば……俺の声とか」  耳元で囁かれて背筋がゾクゾクと震える。  正和さんの息遣いや、抽挿を繰り返す正和さんの形をリアルに感じ、いっそう快感が増した。  目隠しをされていると何かイケナイ事をしているような気がしてドキドキする。次にどんな動きをされるのか、情報を得ようとする体は、一つ一つの刺激にとても敏感になって、いつもより気持ち良い。見えない分、羞恥心も薄れて強請るように声をあげる。 「も、だめ、あぁん、まさかずさんっ、ぃく……イき、たい」 「イっていいよ」 「あっぁ、だめ、触っ、て……さわって」 「純」  泣きながら懇願すると、耳元で名前を呼ばれ唇を塞ぐようにキスされる。歯列をなぞり上顎を舐めて俺の舌を絡め取られると、口腔は甘く痺れた。  律動が早くなり中を激しく突かれて、とうとう頭の中が真っ白になる。 「あぁあぁん……!」  シーツをぎゅっと握り締め、背を仰け反らせて絶頂を迎えると目隠しを外される。その直後、正和さんも俺の中で二度目の精を吐き出した。  中が温かい正和のものでいっぱいに満たされて、少し嬉しくなる俺は男としてどうなのだろう。だが、すぐにそんな事はどうでも良くなった。 (幸せ……かも)  ふと視線を移すと、白濁とした液体が正和さんのお腹をべっとり汚しているのがわかり、凄く恥ずかしくなる。そんな俺に気付いたのか、彼は頭を優しく撫でて褒めるように言った。 「良い子、ちゃんと後ろでイけたね」 「っ……」 「愛してるよ」  唇にチュッとキスをされて、そっと抱きしめられた。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!