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第112話
「何食べたいか決まった?」
「んー、正和さんは?」
「純と一緒なら何でも」
そう言われても、特に食べたい物もないし、俺も何でもいい。
「……カレー、とか?」
「じゃあそうしようか」
正和さんがリビングを出て行くと、しばらくしてキッチンの方から包丁の音が聞こえ始めた。トントンとリズムよく響くその音を聞きながら、俺はソファに寝そべる。明日はどんな悪戯をしようかな、って考えたら口元が緩んだ。
今日は日曜日。正和さんは夕方から仕事だと言っていたが、夕方までは二人でのんびり過ごすことになるのだろう。
ふと思いついて、パジャマから着替える為にクローゼットを開けた。部屋は空調がきいているので薄手の服でも大丈夫そうだ。
以前、正和さんが買ってくれたショートパンツを引っ張り出して穿いてみる。太ももまでがっつり露出したこれは自分では絶対に買わないし、着ることもないと思っていた。
だが、正和さんがこれを選んだと言う事は、こういう格好が好きなのだろう。
着させられるのは恥ずかしくて嫌だけど、家の中だし正和さんが悶々としてダメージを受けるなら喜んでやる。俺ってSかも……なんて冗談を思いながらクスッと笑った。
「正和さん!」
「純?」
朝食の準備をしていた正和さんの背中に抱きつくと、嬉しそうな顔をしてこちらを振り向く。
「正和さんが買ってくれた服、似合う?」
そう言って、その場でくるりと回転して見せると正和さんは顔を赤くする。
「っ……」
「あれ? 変?」
「い、いや、凄い可愛い……けど……」
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