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第117話
俺はリビングへ行き、ケーキの箱に付いていたリボンを持って部屋に戻った。
ベッドに座りズボンと下着を下ろすと、そのリボンで男根の根元を縛って、ゆっくり扱き始める。普段ならこんな事はしないが、今日は正和さんも帰りが遅いと言っていた。「先に寝てて」と言うくらいだから、本当に遅くなるのだろう。
そう思ったら、安心して自慰行為に耽ることができた。
「はぁ、ん……っ」
昂った男根への刺激だけじゃ足りなくて、右手はそろそろと乳首に持っていき、それを正和さんがしてくれるように捏ねたり潰したりする。
「あっぁん、ん……あっ、あっ」
『淫乱。こんなとこ縛られてこんなに濡らして』
そう言って、妄想の中の正和さんは俺の昂りを撫で上げて、サディスティックにニヤリと笑う。男根をゆっくりと扱いて、乳首を捏ね回し、爪でカリッと引っ掻けば、快感から背を仰け反らせた。
「んっ……もっ、と……」
後ろがヒクヒクとねだるように収縮するが、さすがにそこを自分で触るのは躊躇われて、扱く手の速度を上げる。
『イきたい?』
「は、う……正和さっ」
『ちゃんと乳首も弄らなきゃ。誰が手止めて良いなんて言った?』
「ゃ、あっあぁ、ごめ、なさい……ンん」
パジャマのボタンを外してから、右手の指先を口元に持って行き、そのまま咥えて唾液で濡らす。その指で胸の尖端を撫でるように刺激し、弾くように擦れば、舌で舐められているような感じがして、そこから電気が走るような快感が広がった。
「はぁ……っ、だめ、もう……あっ、もうイかせて、くださっ……あぁっ」
もう限界で、俺の中心を戒める紐を解こうとした。しかし、正和さんがその手を掴み、その行為は阻まれてしまう。
「まだ俺は許可してないよ?」
「な、で……ぁっ、もう、ヤ、ああう……っ
出せると思っていたものが出せず、目の前がチカチカして、言葉をまともに紡ぐことすらできない。後ろから回された手でゆっくりと扱かれて、体がビクビクと震える。
「おねだりしちゃって……俺に苛められるの想像してたの?」
「はあっ、ん……鞭とか、ああっ、そんなのは……っ」
正和さんは双丘をやんわりと揉んで蕾を撫でた。だが、妙にリアルな正和さんの声と感触。ぼーっとした頭で後ろを振り向き彼を見つめると、それは凄くはっきりしていて――。
「へえ……鞭で叩かれんの想像してえっちな事してたんだ?」
正和さんは目をスーッと細めて、とても嬉しそうな顔でニヤリと笑う。
「なっ……! っ……今日は帰り遅くなるって……!」
「クレーマーの対応が思ったより早く終わってね。まさか一人でお楽しみ中とは思わなかったけど」
紅潮した顔をさらに赤く染め、俺は俯いて顔を隠す。
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