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第127話
「……じゃあ、俺の誕生日にして欲しいな」
「っ……」
(誕生日とか……ずるい)
金銭は全て正和が管理してるからプレゼントも渡せないし、彼ほどの資産家なら欲しい物は自分で何でも買えるだろう。何もあげられないんじゃ頷くしかないじゃないか。
「だめ?」
「分かった……けど」
(怖い……)
「ん?」
「その日から、毎日殴ったり、とか……っ」
ぎゅっと唇を噛みしめて正和さんの顔を見ると、彼は物凄く嫌そうな顔をして苦笑をもらす。
「それじゃ、ただのDVじゃない」
抱き寄せられて正和さんの顎が俺の頭の上に乗っかる。彼の胸に顔を埋める形になって、凄いドキドキした。息を吸うと正和さんの匂いに包まれて、不思議と落ち着く。
「それにプレイでも殴ったりしないよ。叩くとかはあるかもしれないけどね」
最後の言葉に体がビクッと揺れた。叩く、と言うのだって度合いは色々ある。
「た、叩くって……」
「そんなに怖がらないで。SMだってお互いが楽しむものなんだよ」
正和さんは苦笑しながら、俺の頭を撫でて額に優しくキスをする。
「俺は最初に知識もテクニックもあるって言ったでしょ? 純を気持ち良くさせてやるくらいの自信はあるんだけど」
正和さんの言葉に身体中が朱に染まる。
(俺……なんかすごい告白された気がする……)
「……そんな自信、なくていいんだけど」
「なに。気持ちいいのより、痛いだけの方が好きなの?」
「痛いの好きじゃない……」
クスッと笑って「可愛いなあ」と言ってくる正和さんの腕に包まれてしばらく休むと、あっという間にお昼も過ぎて、遅めの朝食を二人で食べた。
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