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第128話 【第3章】

 今週末には文化祭が始まる。  今日は放課後、コスプレ写真館で使うコスプレ衣装の買い出しに行く予定だ。衣装を担当をしているのは拓人だが、一緒に行こうと誘われたから行くことになった。  正和さんが迎えに来るから普段なら断るのだが、あまり誘いを断ってばかりでも申し訳ないので頷いた。 『お仕事お疲れ様。今日は拓人と文化祭の準備で買い出しに行くから、迎えにこなくて大丈夫です』  お昼休み、正和さんにメールを送って、一分しない内に電話がかかってくる。周りに拓人や勇樹たちがいるので、一瞬躊躇って電話に出た。 『何時頃帰ってくるの?』 「えーっと……六時くらい?」  拓人の顔を見ながら、だいたいの時間を伝える。 『どこまで行くの?』 「んー、バスで三十分くらいのとこ? コスプレ衣装売ってる店」 『俺の店のやつ持ってけば』 「……は? いいよ」 『一緒に行こうか?』  拓人と一緒に行くって言ってるのに何でこう、しつこいんだろう。 「大丈夫」 『……そう。気をつけて行ってきてね』  不機嫌になったのが声音に出たのか、正和さんは少し寂しそうな声でそう言った。 「はーい」  俺は軽く返事をして電話を切る。拓人と放課後出かけるのは二ヶ月ぶりくらいだから、ちょっと楽しみだ。  午後の授業が終わった後、そのまま拓人とバス停に向かった。もしかしたら正和さんが来ているかもしれないと思ったが、そんな事はなく二人で買い出しに出かける。  そのバスの中で話していたのは彼氏についての相談だ。 「SMって言っても何だかんだ彼氏さん優しそうだし? 純も満更でもなさそうだし、誕生日くらい良いんじゃない?」 「っ……だって」 「俺も彼女としたいプレイやってくれたら嬉しいし、喜ぶと思うけどなー。……彼女いないけど」  拓人は「リア充め。惚気過ぎだ」とか言いながら俺の肩を小突いた。 (正和さん、喜ぶかな……)  そんなことを考えていたら、すぐに店についた。店内にはたくさんのコスプレ用衣装があり、どれにするか二人で選ぶ。王道な物から、少しマニアックな物まで様々ある中から、いくつか揃えて店を出る。  小道具は他の人が担当しているので服だけだが、数が多いので紙袋五つ分になった。そんなに重くはないが、かなり嵩張る。 「まだ時間あるし、ゲーセン行こう!」 「うん」  拓人の提案に頷いて、帰る途中にあるゲームセンターへ行く事にする。大きい物を中心に紙袋を三つ持ってくれる拓人をカッコいいと思う反面、俺がひ弱だと言われているような気がして少し悔しい。  バスを途中で降りて、徒歩三分の所にあるゲームセンターに入る。久々に来ると少し騒がしく感じられた。 「おおお」  拓人が喜びながらクレーンゲームに近寄る。箱がズラーッと並んでるそれは、どうやらフィギュアのようだ。  興味がないので、なんて言うアニメか忘れたが、結構有名なロボットみたいなのが戦うやつだ。なんだっけ。

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