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第131話

 怒ってるけど怒らないように我慢している、そんな感じだ。胸がドキドキして、背中に冷や汗をかきそうで悪寒がする。どうしたら良いんだろう。 「――――」 「――――」  ご飯を食べる音だけが響く室内。かなり気まずい。 「正和さん」 「……なに」 「今日は本当、ごめん」 「うん、それはもう許したでしょ」  相変わらず柔らかい口調で優しく言ってくれるが、どう見てもいつもの正和さんの様子とは違う。 「じゃあ、何でそんな不機嫌なの……?」 「――――」 「……どうしたら、良いの」  何も言ってくれないので呟くように問うと、正和さんは箸を置いた。そのカタッという小さな音に、何を言われるのか緊張して体が固まる。 「……ごめんね。純の事は許したんだけど、気持ちがおさまらなくて」 「反省、してます」 「……本当、鎖で繋いで閉じ込めて、俺以外見えないようにしたいね」  正和さんは寂しそうにポツリと呟く。 (……それって、嫉妬?) 「……俺のことそうやって閉じ込めたら、機嫌なおる?」 「え? ……うん、たぶん」  少し驚いた顔をして返す正和さん。よくわからないけど、それで正和の機嫌が直るなら全然構わない。 「良いよ。正和さんの好きにして」  思ったまま告げると、正和さんは何が可笑しいのかクスッと笑って顔を上げ、こちらに目を向けるとふわっと微笑んだ。 「気持ちだけで十分嬉しいよ。あと、そう言うのはエッチの時に言ってほしいな」 (っ……えっちの時って、何だ……)  悪戯な笑みを浮かべる正和さんに、どう対応したら良いのか分からない。 「でも……機嫌悪いのやだ……」 「今も機嫌悪そうに見える?」  クスッと笑ってそう言う正和さんは表情が柔らかく機嫌が悪そうには見えない。何で急に良くなったのかは分からないけど、いつも通りになったのなら良かった。  首を横に振ると、正和さんは再び箸を持ちご飯を食べ始める。  食事を終えて二人で片付けた後は、正和さんの部屋に行った。入ってすぐに後ろから抱き締められて、首元に顔を埋められる。 (……くすぐったい) 「んー、良い匂い」 「ぁっ……」  俺のことを抱き締めていた腕は、シャツの裾からスルリと入り指先が乳首を掠めた。 「正和さん、今日は……んっ、はぁ」  疲れているから今日はそんな気分ではないのに、耳にフーッと息を吹きかけられて体の力が抜ける。  胸を弄る手とは反対の手で俺の中心を触り、胸を揉むように撫でられて、正和さんにもたれ掛かると彼はクスッと笑った。  抱き上げられてベッドに下ろされ、服はあっという間に全て脱がされる。そのまま押し倒されて、胸の尖端を舐めてくる正和さんが俺の顔をチラッと見た。 「あっ、やだ……っ」  正和さんの赤い舌が、見せつけるように乳首を舐めていて、時折こちらに向ける目にゾクゾクする。 「はぁ、っあ……あぅ」  反対側の胸を指先で捏ねまわされて身動ぐと、左の方からガチャッと扉を開ける音が聞こえた。

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